■ オール・ディエン ガイド ■
【オール・ディエン】
そうやって辿った先にあるのが、
湖岸に近いところは浅いが、少し進めば底は非常に深い。底がないとも言われている。沈めば、その体が戻ってくることは決してないだろう。
その深いところには、一体の精霊が沈んでいると言われている。
その精霊は、蛇の姿を借りていた。木々の間を這って朝露を飲んでいるうちに、地上に出た。地上では、雨が降っていた。
精霊は喜んで、雨を飲んだ。たくさん飲んだ。雨は三日三晩降り続け、蛇も三日三晩雨を飲んだ。飲みすぎて、体がまん丸に膨らんでしまった。
体がまん丸になった蛇は、転がって森の中を落ちていった。自分では止まることができずに、とうとう森の底まで落ちてしまった。
そこで、落ちた弾みに、飲んだ水を全部吐き出してしまった。精霊が吐き出す水は尽きず、それはやがて流れ出して、蛇の姿の川になった。
精霊は今も、
それほど大きな湖ではあるが、近隣の村の人たちは湖岸に近い浅い部分に潜って、ドゥールッシュやチチュアーといった魚、それから
【ミジャア】
近隣の村では、女性の
ルキエーの人たちは、
また、
貝柱は火を通しても美味しいが、近隣の村では獲ってすぐのものを生で食べる。未加工の貝柱はあっという間に腐ってしまうので、生の貝柱は
【ターシュ・クル・ピチュメ】
まずは焚き火を熾し、その周囲に石を積んで台を作る。その台に渡すように、平べったい石を乗せて、石を熱する。
その熱くなった石の上に食材を乗せて、焼く。名前の通りの調理法だ。
この調理法は、
その
調理法だけが今も残り、使われている。
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少し前に『出来損ないの精霊の子』という短編を公開しました。
https://kakuyomu.jp/works/1177354054935408770
『旅をする』とはだいぶ雰囲気が違うので、ここで紹介するのは迷ったのですが、舞台が同じなのでリンクしておきます。
『出来損ないの精霊の子』は、第四章と第五章に出てきたルキエーが舞台で、ラーロウが語り手になっています。時系列的には第五章の後。
短編として成立させることを優先したので、ユーヤもシルも出てきませんし、それについての言及もほとんどありません。
また、文章の雰囲気も、テーマもかなり違って、あまりほのぼのとしたお話ではありません。
それでも良いよ、気になるよ、読んでみようかな、という方がもしいらしたら、読んでいただけたら嬉しいです。
ラーロウはこんな世界で生きていて、だからこそユーヤと話すのが楽しかったんだろうな、と思って書きました。
短編でユーヤとシルについて言及がないのは、説明を省くという作者の事情を優先したためで、ラーロウはユーヤとシルと旅をすることをちゃんと楽しく感じていたんですよ、というのはここで言わせてください。
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