■ ルキエー・オール ガイド ■

【ルキエー・オール】


 ルキエーは森と洞窟の国だ。

 国土の多くを岩で覆われており、その岩のほとんどが森で覆われている。ルキエーの草木は、岩に根を張る。

 その広大な森はルキエーの森ルキエー・オールと呼ばれている。


 岩には大小様々な洞窟がある。川は岩を削って流れる。岩の外を流れているところもあれば、岩の中を流れているため、外からはその流れが見えないところもある。


 ルキエーの洞窟に入ると、意外と明るいことに驚くだろう。

 ルキエーの岩は様々な材質のものが寄せ集まって塊となったものだ。ところどころに、透明な材質のものが混ざっている。そのため、洞窟の中でもあちこちから光が差し込んでくる。

 光を溜める性質の石や、他にも光を曲げて通したり、反射したりと、洞窟の中で光は複雑な軌跡を描く。


 人々は、それらをうまく活用して暮らしている。

 ルキエーに暮らす人々は、岩に空いた洞窟を広げて、そこに暮らす。街も洞窟の中にある。

 だというのに、人々の暮らしは明るい。それは、そういった様々な材質の石によって支えられている。


 森も多様だ。

 非常に大きな岩穴では、岩の上だけでなく、洞窟の中も森になっている。そういった森になった洞窟が、上下に何層にも重なっている。

 森は縦にも横にも広く、地元の人間でも、それがどこまで続いているか知る者はいない。


 ルキエーの人たちは森と共に生きる。森の恵みを収穫し、獣たちを狩る。

 キチュと呼ばれる角を持った動物は、ルキエーの人たちにはお馴染みで、食材としてもよく使われている。




【オール・アクィト】


 ルキエーの人々は、普段から植物や動物の真似をして、身を飾る。その装飾はオール・アクィトと呼ばれている。

 森の真似オール・アクィトという名前は、植物や動物を模していることから呼ばれていたものだ。今では身を飾るものは全てアクィトと呼ばれている。


 男性は、動物の角、爪、牙などを飾りに使う。あるいは、毛皮などを身にまとったりもする。

 女性は、植物をモチーフとした飾りを作り、それで身を飾る。花や、葉、蔦、木ノ実や果実などだ。


 森には精霊がおり、人間を見付けると惑わせて森に閉じ込めてしまうと言われている。

 森の真似をすることで、森の精霊に人間ではなく森の一部だと思わせて、見逃してもらうためのお守りが、オール・アクィトのルーツになっている。




【ラー・ロウ】


 ルキエーでは、稀に緑の髪の子供が生まれる。緑の髪の子供は精霊の子ラー・ロウと呼ばれる。

 古くは、緑の髪の子供は「間違えて人として生まれてきた精霊の子」と言われ、子供のうちに森に返される風習があった。今もその風習が残っている古い集落もあるらしい。


 森に返すという風習は少なくなったとはいえ、ラー・ロウは精霊に近しい存在で、精霊に近い存在は人と同じように暮らせないという考えは変わらずに残っている。

 そのため、ラー・ロウは人の名前を与えられず、生まれた家や集落では暮らさない。家を持たず、婚姻することもない。

 中には街中で暮らすラー・ロウもいるが、それはごく稀だ。大抵は森の中に住処を見付けるか、集落や街を渡り歩いて暮らす。

 早世する者が多いのは、精霊に呼ばれるためだと言われている。


 そして、彼らはどこに行っても精霊の子ラー・ロウと呼ばれる。


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