■ トウム・ウル ガイド ■

【トウム・ウル】


 トウム・ウルとは、トウム・ウル・ネイの言葉で「大きな雲」を意味する。この「大きな雲」というのは、空を泳ぐとても大きな生き物のことだ。

 トウム・ウルは、内海に浮かぶ島ほどの大きさもある。それ以上になる個体もいると言う。

 その背中には草が生え、小さな生き物も暮らしている。


 個体はそれぞれに縄張りを持っており、縄張りの中には何頭かのトウム・ウルが暮らしていると言われている。

 トウム・ウルたちが、空の上でどのように縄張りを決めて、認識しているかはわからない。それも含め、その生態にわからないことは多い。




【トウム・ウル・ネイ】


 トウム・ウル・ネイは、そのトウム・ウルの背で暮らしている民族だ。


 トウム・ウル・ネイの人たちは、ルーと呼ばれる生き物を飼い慣らしており、ルーの背に乗って移動する。また、家畜としてアーゴルと呼ばれる鳥を飼っている。


 トウム・ウル・ネイは、トウム・ウルの背を渡り歩いて暮らす。季節によって変わる風や、トウム・ウル個体の調子、その背中の状況を見て、引っ越しを決めるらしい。

 一生のうちに数えきれないほども引っ越すので、彼らはいつでもルーに乗って旅立てるように生活している。


 彼らの言葉で、ネイというのは「氏族」や「一族」を意味する。彼らの神話では実際に、彼らとルーはトウム・ウルから生まれたと語られている。


 世界が生まれたとき、最初に空が生まれて、風が生まれ、雲が生まれた。そして、とても大きな雲から最初のトウム・ウルが生まれた。

 最初のトウム・ウルはとても大きく、太陽を半分食べてしまった。そのせいで、一日の半分は夜になってしまった。

 トウム・ウルが背中から息を吐くと、それは雨になって世界に降り注いだ。それが海になった。

 次にトウム・ウルは、糞をした。大きなトウム・ウルなので、その糞もとても大きいものだった。その糞が海に落ちて、大地になった。

 さらにトウム・ウルは、雲を飲み込んで子供を産んだ。小さなトウム・ウルが生まれた。

 それからまた雲を飲み込んで、今度は人を産んだ。人を小さなトウム・ウルの背中に住まわせた。

 人はトウム・ウルのように空を泳ぐことができなかった。なので、人の良き兄弟として、空を飛ぶルーを産んだ。そうしてルーも、小さなトウム・ウルの背中に住まわせた。


 これが、トウム・ウル・ネイとその兄弟であるルーの始まりだと言われている。




【ルー】


 ルーは、トウム・ウル・ネイが飼い慣らしている空を飛ぶ生き物だ。

 トウム・ウル・ネイの人たちは、ルーをただの家畜ではなく、自分たちの家族に近いものとして、共に暮らしている。


 体は鱗で覆われ、前脚に皮膜を持ち、地面に立つ間は後脚だけで体を支える。個体にもよるが、人を一人か二人乗せて空を飛べる。

 また、非常に賢く、トウム・ウル・ネイの言うことをよく理解して飛ぶ。

 子供の頃から一緒に育ったトウム・ウル・ネイとルーは、それこそ家族のように通じ合うのだと言う。


 ルーの姿は、オージャでのラーゴ、タザーヘル・ガニュンでのクビーラなど、各地の伝承に残る生き物の姿に似ていると言われている。

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