2021/07/31 自主企画『時間をめぐる冒険』への参加と缶詰の話
時間をめぐる冒険
https://kakuyomu.jp/user_events/16816700426102573556
という自主企画に参加しました。間に合って良かった。
時間の缶詰
https://kakuyomu.jp/works/16816700426313297697
十年前に「時間が入っている」と言われて渡された缶詰。それをくれた彼女は死んでしまった。十年間、缶詰を開けられないまま、過去の彼女を思い返して、中に入っているはずの時間について思いを巡らせる。
それだけのお話です。
缶詰って、中に何かを封じ込めている感じがなんとなく好きです。
空き瓶が持っている物語性のようなものを、開いていない缶詰に感じます。瓶は中身が空っぽになってから、缶詰は開くまで、が物語だななんて思ったりします。
缶詰の缶は開けてしまえば再利用は難しく、その不可逆性というのが面白いなと思うのです。
そして、開けるまで中身がどうなっているかわからないのも面白いなと思います。
いや、まあ、スーパーでツナ缶を買ったら中身はツナ缶なんですけど。むしろそれでツナが入ってなかったら困っちゃうんですけど。
それでも、開ける時の「それまで見えてなかったものが見える」というのは、なんとも面白いものがありますね。そして中身を見てしまったら、もう見えなかった状態には戻せない。
学生時代に授業で赤瀬川原平の『宇宙の罐詰』の話題が出たことも思い出します。
そのおかしさというか面白さも、ぴっちりと蓋がされてしまうことで発生してるものだなあ、なんて学生時代のわたしは思ったのでした。
その缶詰を開けたとすれば、その内側のカニ缶のラベルを見ることになり、その瞬間に缶詰の内側だと思っていたものが外側だったことを知ることになる。
缶という薄い一枚の金属板のこちらとあちら。それが引っくり返って、今まで缶詰にされていたのは、こちら側だったのだと思うことになる。
その辺りにも影響を受けているような気がします。
缶詰の中って、時間が止まってるような、中と外で時間の流れが違うような気分もあったりします。
あ、缶詰の中身だって時間が止まってるわけじゃないっていうのはわかってはいます、多分。時間が止まってたら、シュールストレミングの缶詰がだんだん膨らむとかないですもんね。それはわかってはいるんですよ……多分。
でも、缶詰を開けることで、その中身の時間が動き出すような、そんな錯覚があったりします。そして、開いてない缶詰がその中に封じ込めているものって、本当は時間なんじゃないのかな、とも思ったりするのです。
みたいな、ぼんやりした断片を集めて、なんとか短いお話を書くことができました。自主企画に参加しようと思ったおかげです。
時間をめぐる冒険
https://kakuyomu.jp/user_events/16816700426102573556
こちらの自主企画、八月四日までなのでまだ間に合います。過去に投稿した作品でも大丈夫とのことなので、テーマに合致する一万字以内の短編をお持ちの方はぜひ。
ノベルアップ+の企画用に書いた作品をカクヨムでも遅れて投稿しています。それについては、企画が終わってカクヨムへの転載が終わったらふりかえりを書こうかなと思います。あ、書かないかも(予防線)。
あ、あと『旅をする』第十一章は明日から公開します。また一週間よろしくお願いします。
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