【長歌】人

永遠の 時間の大河の 瀲灔の 泡沫に帰す 宿命にあり 泡沫に帰す 最期を識りつつ 愛しあひ 憎しみあひて 殺しあひては またいだきあひ 煙草を喫ひて 酒をばのみて はたらき なまけ 敬虔であり また 無神論たり 狂ほしいほど 狂ひては 狂気と正気の 狭間をあゆみて うたをばうたひ 強盗をばし 救恤したれば RAPEもしたりて 殺人鬼もゐて 聖者もまたゐる 演説をして 革命をして 破壊をしたれば また創造し 金を愛して 名誉を愛して 虚無から生まれて 虚無へとかへる 窮極集合なる宇宙にありて 天国を また 極楽を 望み むなしき人生を むなしき百年を むなしき千年を 技術的特異点まで 生きては死んで 死んでは生きて 久遠を夢見て ながれはゆくが 永遠の時間の大河の 淼漫の 泡沫に帰す 宿命にあり 泡沫に帰す をはりを識りつつ なほ生きて なほ生きてまた 差別もし 虐殺もして 妄想し 平和を禱れば 兵燹をあげ 戦争もまた ホロコーストも してきた人類 むなしきながらも 人がすきです 人がすきです

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『愛の歴史 ほか』長歌集 九頭龍一鬼(くずりゅう かずき) @KUZURYU_KAZUKI

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