(四)-2(完)
明は駅の方へ体を向けて数歩歩いてから、まだ立ち上がれない私の方を振り返った。
「僕、気づいたんだ。一番大事なのは自分だって。自分自身なんだって。だから自分を守るんだ。強く生きなきゃって」
何を言っているのよ、明。
「そんな僕のうちにいる大切な人を守るために、僕はこうしているんだよ」
大切な人って……。自分自身ってこと……?
「だからいじめてる奴らを倒さなきゃいけないんだ。彼らは悪魔だからね、勇者になって成敗するんだ」
何を言っているのよ、明。どうしちゃったのよ。
「誰にも話さないでね。そうしないと、僕、房恵も殺さなきゃいけなくなっちゃうから……」
そう言って明は駅の方へと歩いて行った。
私はただ地面にへたり込んだまま、明の背中を見つめることしかできないでいた。
(了)
大事な人 筑紫榛名@12/1文学フリマ東京え-36 @HarunaTsukushi
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