読者の中にある、様々な聖女像を塗り替え続ける

主として、「○○の聖女」といったような存在は、その奇跡と献身的な言動とを受け、感謝を込めて語り継がれるという、
ある意味では一方方向的な見方であった事を読み手に再認識させる。

善人のように見えても、その内心は計り知れない、などというような文言はイヤというほど聞くものだが、そういう意味では改めて寓話的な驚きをもたらす作品。

タグにあるように、メリーバッドエンドな作品ではあるが、本作にいたっては、その善悪さえも、宗教観によって形成されているため、
もしかすると、数十年後には今読者として想定できるラストの解釈とは違うものがあるかもしれない、という面白味もあった。