シン・ゴジラ的なリアリティで妖魔の棲みつく現代世界を描く

妖魔の跋扈する現代で、「退魔師」として働くJKというと、一見ジャンプモノみたいな印象を受けますが、どちらかというと「シン・ゴジラ」を彷彿とさせる、実写映像的な読み味でした。突然現れた「現代最強の退魔師巫女美少女JK」というコンテンツに湧く世間、利用しようと近づく人々、そういう「現金さ」を、諧謔も交えて書いている作品です。

もともとの世界で男性であるというTS設定ゆえに、家父長的な圧制や凌辱、性的な目線みたいなものがさんさんと水琴に降りかかっていても、水琴の人格自体は依然として転生前に紐づいているので、本人がそこまで「自分事」として捉えていない。あくまで他人事といった風なので、こちらも「災難だな……」くらいで読み進められるというか、諒解できる、うまい設定だと思いました。(水琴がTS設定なしのただのJKだったらちょっと読み続けるのがキツかったかも)
時たま覗く転生者ゆえの知見、みたいなものが面白く、「推しの子」のアクアを思い出しました。

伏線の存在もびんびん感じているので、これからの展開に超期待しています。