主人公の麻衣は、経験不足でコミュニケーション下手。
瞬時に正しく受け答え出来ない自分を理解し、プライドを守るため、常に周囲を警戒し採点している。
制服のある職場、正しい服で見た目から受け入れられ溶け込もうとする。旬を過ぎた愛着のない服の墓場に暮らすライフスタイルは対人関係も同じで、上辺で理想化し、手に入れたい時だけ猪突猛進、粘着する。
見当違いの努力で埋まらない溝を埋めるアイテムが服と頼り、宗教の様に盲信し依存する主人公だ。周りの目を気にし、服と婚活しか目下の興味はない。
漫画だと服だけ気合いが入っていて、自身のボディケアは無頓着で、ギャップがえぐかった。
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本作は小説サイト、漫画版、何度か拝読しました。小説の麻衣は情報収集に関しては努力があり、他者への秤も自分基準になっている事が分かりやすい。そして、終始うっすらと怒りの描写が随所にある。
色々な麻衣に出会えて嬉しいです。
麻衣の不器用かつ身勝手で生きづらい物語から目が離せず、引き込まれます。
されたら傷付くのに人には平気で言い、都合の良い解釈で舞い上がる日々。相手の見ていないところで勝手に努力し、距離を縮めた気でいる。痛い。
痛みの鮮度と解像度が、すごい。奈落の開いた舞台で、大失敗の服を次々脱ぎ捨て、彼女の思う正しいワンピースに着替えて孤高を突き進む麻衣は、立派に主役である。
エンディングは異なりますが、小説も漫画も、服が何であれ麻衣への態度・結果が変わらないと言う、麻衣の宇宙の外側からの真理があって良かった。