第61話 GHQの統治から現代へ……

 軍部の暴走によりアメリカと戦うことになった日本ですが、粘りに粘るも、最終的に広島、長崎に原爆を投下されるという、悲惨な結末を迎えました。


 日本はようやく降参を認め、ポツダム宣言を受諾し、日本の敗戦という形で第二次世界大戦は終わります。


 ちなみに、世界恐慌を起こして経済破綻に陥っていたアメリカですが、日本と戦争を始めたので、軍事産業が活性化し、経済を建て直すことができました。

 悲しいことに、戦争って儲かるんですね。


 さて、敗戦した日本はアメリカに占領されてしまい、このまま日本はアメリカになってしまう……なんてことはなく、連合国最高司令部(GHQ)という組織が結成され、敗戦直後の日本を引っ張っていきます。

 

 それでは、GHQが日本でなにをしたのか、見ていきましょう。



【GHQの改革】

 GHQの目的は日本をアメリカにすることではなく、国際社会の一員として、他の国と仲良くやっていけるように、指導し、一人立ちさせることでした。


 もちろん、「完全にアメリカにしてしまう」、「天皇制を廃止する」など、日本を終わらせる意見も出ましたが、GHQのトップであるダグラス・マッカーサーは……


マッカーサー「日本は世界で一番古い国だから、歴史的にも日本を消滅させるのはマズイし、天皇は残した方がいい」


 このように判断し、古墳時代から千年以上続いている、日本という国がなくなる事はありませんでした。


 さて、GHQ最大の目的は、「日本の非軍化」でした。というのも、日本に軍事能力があれば再び軍国主義になり、アメリカに歯向かってくる可能性があたからです。


 まずは第二次世界大戦で日本を引っ張っていた軍人や政治家を、軍事裁判にかけ、たくさんの軍人と政治家が処罰されました。


 これを『東京裁判』と言います。


 こうして、日本政府から軍国主義者を追い出し、軍事要素が強い、『大日本帝国憲法』を変更します。


 そしてGHQの指導の元「国民主義、平和主義、基本的人権の尊重」を基本とする、日本国憲法が作られました。

 また、「憲法の第9条」には、「これから日本は武力を持たず戦争をしません」と書かれており、日本は武力(軍)を持つことはできなくなりました。

 しかし、後に自衛隊という武力を持つことになるので、矛盾が生じる事になり、「憲法第9条」は今でも、議論されていますね。


 憲法を変え、日本の非軍事化を推し進めたGHQは、民主化できるように改革を進めました。


 これは『五大改革』と言って、その内容は「婦人参政権」、「労働組合法の制定」、「教育制度改革」、「圧政禁止」、「経済の民主化」です。

 

 GHQが行った改革によって、日本の教育制度は「小学校6年、中学校3年、高校3年、大学4年」になりました。

 

 また、近年「ブラック企業が叩かれたり」、「女性の社会進出が叫ばれたり」していますが、これらはGHQの五大改革から来ているし、外国の思考が浸透してきたと言えるでしょう。



【GHQの経済政策はうまくいかなかった!】 

 GHQの行った政策のうち「経済の民主化」という経済政策があります。なぜ、これを行ったのかというと、戦前の日本経済は『財閥』という組織が握っていて、他の企業が伸びることができませんでした。


 財閥といえば、よく漫画やアニメで「○○財閥のお嬢様」的なキャラが登場しますが、実際には「市場を支配する一族」という意味であり、ゲームで言うところのステージのボスキャラ的存在ですね。


 さて、戦前はこの財閥が政府と癒着しており、財閥が国の仕事を任されていました。バックについているのが、国なので、そりゃ間違いなく儲かりますね。


 GHQは「これじゃあ、他の企業が伸びないでしょ」という事で、市場独占を禁止する『独占禁止法』を作り、さらに『財閥解体』を行いました。


 この時解体された財閥というのが、「三菱、三井、住友、安田」です。


「あれれ? この4つって今でもあるよね? 三井、住友VISAカードのCMはどうなるの?」と思った人いるでしょう。


 なぜなら、GHQの財閥解体は途中で終わるからです。とはいえ、財閥解体や独占禁止法によって財閥が弱ったことにより、ソニーやホンダなど、現代の日本経済を支える企業が登場します。


 今、プレステで遊べるのは、GHQの経済政策のお陰といえますね



【なぜ、GHQの経済政策はうまくいかなかったのか!?】

 なぜ、GHQの経済政策はうまくいきませんでした? それはなぜか、ズバリ言うと、「日本に共産主義が広がった事」と、「朝鮮戦争が始まった」からです。


「共産主義ってなんぞ?」、「なんで朝鮮戦争がかかわってくるの?」という疑問にお答えします。

 

 まず、共産主義についてお話します。


 今の日本は時給1時間¥1000の会社で、10時間働いたら1万円もらえます。


「そんなの当たり前でしょ?」と思いますが、それは日本が共産主義とは真逆の『資本主義』だからです。


 資本主義というのは、「個人のお給料は働いたら、働いた分だけもらえます」。


 また、経済や金融は国ではなく企業が握っているので、経営者は好きなサービスや商品を売る事ができます。


「じゃあ、労働者を24時間働かせて、時給も10円にしたろ」、「儲かるから武器や麻薬を売ったろ」なんて、事がないようにある程度、法律で規制されています。


「資本主義=経済は企業中心=今の日本」と思ってください。


 じゃあ、反対の共産主義というのは、「経済や金融は国が管理する」というやり方です。


 なので、企業は好きな商品やサービスを売ることはできず、国が「○○社は月に車を100台作って売ってください」という指示を出してきたら、従わないといけません。

 

 また、国民のお給料も国が決めます。


 なので、「一日のお給料は1万円です」と国が決めたら「5時間働こうが、10時間働こうが、1日の賃金は1万円」というのが、共産主義です。


 つまり、国民全員が公務員みたいなものですね。


 ちなみに社会主義という言葉もありますが、多少違いはあるものの「社会主義と共産主義は同じ」と思ってください。あまり掘り下げると、脱線するので、共産主義のお話はここで終わります。


 さて歴史に話を戻します。「経済は企業中心の資本主義」と「経済は国中心の共産主義」は、水と油みたいなものなので、考えが合わず、仲が悪いです。


 ヒトラーの攻撃でヨーロッパがメチャクチャになっている一方で、本土が攻撃されなかったアメリカは、あっという間に資本主義のリーダーとなりました。


 しかし、アメリカと同じく本土への攻撃がほとんどなく、共産主義のリーダーに成り上がった国がありました。


 それがソ連(現代のロシア)です。(ロシアもころころ国が変わっているので、ややこしいですね)。


 ソ連は世界経済の主導権を握るために、共産主義国を増やそうとしたので、戦後の日本に共産主義者が現れました。


 アメリカは資本主義によって、世界経済の主導権を握りたかったので、共産主義者が増えるのは困ります。

 ソ連の進行はそれだけじゃありませんでした。日本が敗戦したことによって、空いた朝鮮半島に共産主義国家である『北朝鮮』を作ったのです。


アメリカ「こりゃ、いかーん!」


 という事で、アメリカはソ連に対抗して、朝鮮半島に資本主義国家である『韓国』を作りました。


 こうして、朝鮮半島には、文化も言語も同じなのに、アメリカとソ連の思惑によって考え方が違う国が生まれたのです。


 さて、第二次世界大戦以降、日本では戦争は起きていませんが、「資本主義のアメリカVS共産主義のソ連」による、戦いが昭和の終わりまで、ずーと続きます。


 しかし、直接やりあう事はありません。なぜなら人類は核ミサイルを作ってしまったからです。


 もし、アメリカとソ連が直接ドンパチすれば、間違いなく核ミサイル撃ち合いになるからです。 

 北斗の拳の冒頭で「19××年、世界は核の炎につつまれた」なんて台詞がありますが、フィクションじゃなく、本当に起きていたかもしれません。


 アメリカもソ連も「自分たちが住む地球を壊してまで、戦争はしたくない」と考えていましたが、「世界経済の主導権を握りたい」とも考えていました。


 お互い嫌いだけど、直接ドンパチしない、この戦いを『冷戦』といいます。


 でもやっぱり相手が気に入らないので、アメリカとソ連が行ったのが、『代理戦争』です。


 戦後からソ連崩壊まで、朝鮮戦争、ベトナム戦争、アフガニスタン紛争など、様々な争いが起きますが、これ全部「アメリカVSソ連」の戦いであり、「資本主義と共産主義」の覇権争いなんですね。


 その第一ラウンドとなったのが、『朝鮮戦争』です。

 


【朝鮮戦争によって復活した日本経済】

 もともと1つの国で、同じ民族だったのに「アメリカによってできた韓国VSソ連によってできた北朝鮮」によって、『朝鮮戦争』が勃発しました。


 さて、この朝鮮戦争を分かりやすく例えると、ポケモンです。というのも……


アメリカ「行け! 韓国。君に決めた」


ソ連「行け! 北朝鮮。君に決めた」


 ポケモンというゲームは、プレイヤーじゃなく、プレイヤーが連れているポケモン同士を戦わせて、相手の立場を弱くするというものなので、『冷戦』はポケモンで例えると、ひじょうにわかりやすいです。 

 

 さて、朝鮮戦争が始まったので……


アメリカ「ちょっと、日本。朝鮮戦争に協力して」


 このように言われました。そして、第一世界大戦の時のように、戦地へ物資を送るために、また工業が活性化し、「三菱、住友、安田、三井」などの財閥解体はストップします。そして産業を引っ張っていくことになり、現代まで残ったわけです。


 こうして、戦争の特需によって、戦後の日本は一度焼け野原になったにも関わらず、好景気となりました。


 また、日本のすぐ近くで戦争してるし、アメリカとソ連の関係が悪くなっているので、憲法第9条で武力放棄が書いてあるのに、後の自衛隊となる『警察予備隊』を結成しました。


 こうして、共産主義の進出や朝鮮戦争など、様々な要因が重なり、日本はGHQの思惑とは反対の方向に進みます。これを『逆コース』といいます。

 

 

【そして現代へ……】

 GHQに統治されて7年後、『サンフランシスコ講和条約』が結ばれ、日本は主権を取り戻しました。これと、同時にGHQは日本から撤退します。


 日本は国際社会の一員として認められた訳ですね。


 第二次世界大戦という、争いの後は平和が訪れます。何度もいっていますが、歴史は「戦乱→平和→戦乱→平和」を繰り返しています。


 さて、戦後といえば「鉄腕アトム」の手塚治虫氏や、「ドラえもん」の藤子不二雄氏が登場し、映画やテレビ番組といったカルチャーが育ちます。


 21世紀が過ぎると、ヒカキンや東海オンエアなどのYouTubeというニューカルチャーが出てきて、ひじょうに楽しい時代が到来しているわけですが、これも戦乱期の後に訪れている、平和な時期なのかもしれません。


 今までの歴史を振り返ると、たくさん人が命を奪われ、多くの血が流れているのがわかりました。


 ずっとこの平和が続いてほしいですが、産業革命の時のように、技術が飛躍したり、世の中が変わると、戦乱期に突入するかもしれません。


 歴史は同じ事は起きないけど、同じような事が起きる、というのが常です。

 

 源頼朝が支配していた頃を鎌倉時代と呼び、徳川家康が支配していた頃を江戸時代と呼びますが、100年後、200年後、そして1000年後、今この時代は何時代と呼ばれるのでしょうか? それはわかりませんが、なんらかの名称はつけられると思います。


 頼朝も1000年後に鎌倉時代と呼ばているなんて、想像していなかったでしょう。


 人類の平和と発展を願いつつ、縄文時代から始まった私の日本史のお話は、これで終わりますが、歴史はまだまだ続きます。


 毎日、読んでくれた方、コメントをくれた方、本当にありがとうございました。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

超かんたん! ラノベ感覚で楽しく読める日本史! 東樹 @itukiazuma33

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ