生きることは大変だけど、死ぬよりはきっといい

まずはこのノンフィクション作品を掲載した、ますもりおさんの勇気に敬意を表します。
言葉にするのをためらってしまうような壮絶な人生。悪いことに手を染めてしまった作者の、道のり途中のエッセイです。
内容的には重いのですが、語り口があっさりとしているので、読んでいてつらい気持ちにはならないと思います。

父親から虐待されても母親はかばってくれない。愛する人と幸せを手にする手前で、悪魔の囁きに落ちてしまう。一生懸命に働いても、足を引っ張られたり、犯罪行為によって幸せを逃してしまう。病気に蝕まれ、以前の生活を送れない。
文中で医者が「あなたは破滅型だ」と言っていましたが、幸せを妨害するのは他人、そして自分の内からも来るのだと感じました。けれど裏を返せば、幸せに導くのも自分であり、他人の優しさや思いやりなのでしょう。

この先のますもりおさんの人生が、穏やかさに満ちたものであることを願わずにはいられません。体を労りながら、執筆活動を続けていって欲しいと思います。