なろうで書籍化は無理ゲーだけどバカにするのも違うと思う

小説投稿サイト『小説家になろう』には、所謂なろう系と呼ばれる小説が大量に投稿されています。


異世界転生モノだったり、追放ざまぁモノだったりと、流行のジャンルがテンプレに沿って大量生産されています。


趣味で投稿している私としては「もっと気楽に書けばいいのに……」と思ってしまうのですが、多分、なろうで作家デビューを目指している人にとっては、そうせざるを得ない事情があるのでしょう。


というわけで、なろう書籍化(とその後)がいかに厳しいのかについてと、なろう系をバカにするのは良くない、ということを書いていきたいと思います。


まずは、なろうの書籍化について。


結論から言ってしまえば、なろうで小説を書いて書籍化するというのは、かなり難しいと言わざるを得ないし、仮に書籍化できたとして、それで満足な収入を得られるのかといえば、それも微妙です。


書籍化については、あれだけレッドオーシャンになったランキングで上位に入るのは、

1.かなり運が良い

2.かなりなろうのシステムを研究している

3.かなり危ない橋を渡っている

のどれかでしょう。


小説自体はテンプレでいいので、似たようなものは書けると思いますが、それだけでランキングに入るのは厳しいです。


ランキングに入るには、1~3のどれか、あるいはその全てが必要になってくると思います。


まあ、ここまではなろうユーザなら異論はないかと思います。


だからここからは、仮に運良く書籍化されたとして、それってどうなのという話をしてみます。


「書籍化されれば、印税が入ってきてウハウハ」なんて単純に考えているとしたら、それは相当お花畑な思考だと言わざるを得ません。


計算してみるとわかりますが、印税って意外と儲からないですよね。


例えば、1000円の本が10000部出版されて、著者の印税が8%だとします。この場合、1000×10000×0.08=800000です。つまり、本を1冊出版しても80万にしかならないのです。


あの血みどろのランキング競争に勝ち抜いた見返りが、たった80万……。


プロ作家として食べていきたい人には、到底我慢できない数字でしょう。


「いや、2巻、3巻と出せれば、印税も増えるんじゃないの」というアナタ、わかっていません。


いや、偉そうなこといってごめんなさい。


私は出版社の人間ではないので、確かなことは言えませんが、ラノベでは2巻目が出せるのは20%くらいらしいです。多分、なろう系も似たようなものでしょう。


多くが1巻、よくて2~3巻で打ち切りというのが関の山のように思えますし、2~3巻を出せても、160~240万とかじゃないですか。


本業にするにはちょっとどうかと思う収入ですよね。


というか、これだけなろう系の書籍化が乱発されていることの背景には、とにかく数字を持っている書き手に書いてもらって、数打ちゃ当たるとばかりに出版せざるを得ない事情があるとしか思えません。


つまり、最初から長期連載を前提としていない、冷たい言い方をすれば、使い捨てとして書籍化をしているということです。


もちろん、中には大当たりする作品もあるのかもしれませんが、統計的に考えれば、皆無に近いですよね。


コンテンツ業界ではあるあるだと思いますが、一部の人がめちゃくちゃ稼いで、その他大勢の人は全く陽の目浴びずに消えていきます。


音楽とか芸能界とかもそうですよね。


小説家もその例に漏れず過酷な職業だし、なろう系なんてその中でも一番底辺のジャンルだと思っていた方がいいでしょう。


という感じで書籍化のことを散々disってしまったわけですが、私はなろうで小説を書くことは素晴らしいことだと思っています。


まず、なろうに限らすですが、私は文章を書くのが好きだし、それを誰かに読んでもらえると、とても嬉しい気持ちになります。例え、それがなろう系小説だったとしてもです。


「要は楽しいからいいんじゃないの」ってことですよね。


多分、私を含め多くの投稿者はそうだと思いますが、本業があって趣味で投稿していると思うんですよね。


だから、そういう人に向かって「なろう系(笑)」とか「書籍化狙い(笑)」みたいな冷たい眼差しを向けるんじゃないよ、まったく。


なろう系はおじさんたちの唯一の表現の場なんだぞ。


というわけで、投稿作品の多くは素人が趣味で投稿しているはずなので、

・ニートのくせに

・仕事しろ

みたいな根拠のない誹謗中傷はよくないと思うわけです。


また、こういう誹謗中傷は読者に対しても言われていて、

・オタクが読んでる

・現実逃避で読んでいる

とか言いたい放題いわれているわけです。


私はこのような感じで人にレッテル張りをして誹謗中傷するのが大キライなんですよね。


だから、なろう系に投稿している人も、なろう系を読んでいる人も、もっと胸を張っていいと思う。


なろう系は全然悪くない、立派な文化だ。

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底辺アマチュア作家のつぶやき カレーねずみ @curry_rat

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