骨
ジュン
第1話
「私、牛乳を毎日飲むの」
チエはそう言った。
「牛乳が好きなのかい?」
僕はそう尋ねた。
「骨を強くするためよ」
「まだ、20代なのに。もう骨粗鬆症の心配かい?」
「おばあちゃんが亡くなったの」
「そう」
僕は聞いた。
「骨粗鬆症で亡くなったの?」
「そうじゃないの」
僕は思った。「どういうことだろう」と。
「私ね、祖母の遺骨を見て思ったの」
彼女は話し始める。
「どんなにお金があっても、どんなに美しい容姿でも、骨には勝てないんだなって」
「…………」
「最後は燃えてしまって、骨だけが残るのよ」
「骨だけが残る……」
「そう。私自身が死んだ後、私の骨だけが生前の私を語れるの」
「…………」
「『これだけしっかりしたお骨なら、しっかりした人生を生きたのでしょう』って、骨が弁明してくれるの」
「…………」
「ねえ、知ってる?ダイヤモンドって燃えてしまうのよ。炭素だから。でも、骨は燃えない」
「ダイヤより骨は美しいんだね」
「気骨のあること言うのね!」
彼女は笑った。悲しみの印象を与えた笑みだった。
骨 ジュン @mizukubo
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
言語認知物理学/ジュン
★0 エッセイ・ノンフィクション 連載中 1話
言語認知物理学/ジュン
★0 エッセイ・ノンフィクション 連載中 1話
言語認知物理学/ジュン
★0 エッセイ・ノンフィクション 連載中 1話
言語認知物理学/ジュン
★0 エッセイ・ノンフィクション 連載中 1話
言語認知物理学/ジュン
★0 エッセイ・ノンフィクション 連載中 1話
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます