第1話 始まり
チャイムの音が鳴り響く。今日は平日だから学校がある。
今は登校の時間なのでそこら中から挨拶の声が聞こえる。俺は廊下を歩いて自分の教室に向かう。
教室に入ると教室にいる人達がこちらを向き、驚いたような表情をした。そして、皆ヒソヒソと話し始めた。
数分立つとある一人の教師が教室に入ってきた。
俺はそれに合わせて教壇に立ち、教師の合図に合わせて自己紹介をする。
「俺の名前は霊斗、初代Ability-KINGだ。よろしく。」
すると生徒たちはザワザワし始めて、教師がそれを静める。しばらくすると静かになっていく。
「えーと、この人は初代Ability-KINGで今日から臨時講師で能力を使った戦闘訓練のときに指導してくださることになっている。」
それを聞いて生徒のうち1人が挙手をして発言をする。
「そんなことを急に言われても納得することができるわけないじゃないですか。」
教師はそれを聞いて困ったようにしていた。
「そう言われても···」
「証明してくださいよ。初代Ability-KINGたる所以を。」
他の生徒が言うと周りの生徒たちも便乗して、声を上げる。
「皆さん、落ち着いて···」
そんな状況の中俺は言う。
「先生、次の戦闘訓練はいつですか?」
そう言われ、予定表を確認する先生。
「今日の2時間目です。」
「丁度いいな。では、今日の戦闘訓練で証明してやろう。」
そう言うと、生徒たちはザワザワした。
「そんなのハッタリだ。ただ強がってるだけだろう?」
「別にどう思ってもらっても構わないが、1つだけ確かなのは俺はお前たちよりも強いということだ。」
そう言われて生徒は黙ってしまう。
「もうホームルームの時間が終わるな。今日の2時間目を楽しみにしておけよ。」
そうしてチャイムが鳴る。俺は教室から出ていく。
この学校は能力者を育成する学校でこの学校にいる生徒の殆どが「能力者会館」に所属していて、全校生徒の全てが能力者である。実際にこの学校の生徒が任務に赴くこともあるし、ここを卒業して社会で活躍する能力者も多数いる。今回、俺はこの学校にいる生徒を鍛えてほしいと依頼が来たので引き受けたのだ。ちなみに能力者を育成する学校は世界で20校程しかない。日本には東京にあるこの学校と関西の方にもう1つあるだけだ。
<2時間目>
「これから戦闘訓練を始める。と、言いたいけれども俺が初代Ability-KINGであることを証明しないといけないんだよな。じゃあ、どうやって証明すればいい?」
そう問いかけると、1人の生徒がニヤリと笑いながら行った。
「ここにいる生徒全員と戦って勝てばいいと思いますよ。」
それを聞いて他の生徒達も便乗してきた。
「わかった。いいだろう。ただし、···」
俺は残酷な笑みを浮かべてこう言い放つ。
「多少の痛い目にはあってもらうぞ。」
そう言えば生徒達は多少顔が引きつっているが、ハッタリだと思っているのか気に止めていないものがほとんどだった。
「さて、早速始めよう。全員···殺すつもりでかかってこい!」
そうして全員片付けるのにかかった時間は5分程度だった。
「さすがは日本に2つしかない能力者育成学校に入れる能力者なだけはある。まさか5分もかかるなんてな。予定では1分程で片付けるはずだったんだがな。」
生徒たちは皆倒れていて肩で息をしていた。
「さて、これで認めてもらえたかな?」
そう問いただすと、生徒たちは青ざめ下を向いてしまった。
「まあ、何にしてもこれから戦闘訓練は俺が指導していくから、覚悟しておけよ。今日の授業は能力の仕組みについて詳しく話すからしっかり聞いておけよ。」
「じゃあ何から話していくかな。そうだな、まず能力がいつ現れたのかだ。能力は約半世紀前に認知され始めた。実際はもっと前からあったんじゃないかとも言われている。どういう経緯で現れたのかはまだ、わかっていないことが多いが1説では、誰かが創り出したのではないかとも言われている。実際どうなのかはわからないがな。さて、この話はもういいだろう。次は能力の種類についてだ。ここからは戦闘にも繋がってくるから、メモを取りながら聞いてけよ〜。」
そう言えば、皆真剣な顔つきでメモの準備を始めた。
「能力の種類と一口に言ってもこの世界に能力はたくさんある。一応この授業は戦闘訓練だから、今回話すのは、戦闘向きの能力についてだ。戦闘向きの能力と言ったらまず大切なのはなんだと思うか、そこの生徒答えてみろ。」
そう指名するとその生徒は、慌てながらもしっかり答えた。
「攻撃をすることができることでしょうか。」
「そうだ。まずそこが大事なことだ。だがそれだけではだめだ。攻撃できるからといって、必ずしも戦いに勝てる訳ではない。つまり、戦闘向きの能力はバランスが取れている能力だ。攻撃ができ、その威力もあり、素早く動けて、防御もできる。そんな能力が理想的だな。だが、なかなかそんな能力あるわけでもない。だからこそこの授業ではいろんな戦い方を学んでほしいと思っている。それに此処から先ずっと1人で戦っていくわけでもないんだからな。大変な任務を達成したとき、よくニュースとかでも流れることがあるだろう。グループで紹介されることもるはずだ。なぜグループで任務に赴くのか。答えは簡単だろう。その人、その人でできることは違う。だからこそチームを組み、役割を振り分け任務に赴く。そうすれば、自分にできることに集中してできる。だからこそ、自分にできることを極めてもいいとも思っている。長々と話したがひとまずこれでおしまいだ。次の授業では、これから何をしていくのかを具体的に話していく。」
そう言い残し、俺は訓練場をあとにする。
最強能力者が、最弱へと成り下がる みり @miykeryo
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