一滴の思い出

登場人物がTシャツを着ていたから夏だろうか。
小さな縮こまったトンネルから土砂降る雨を覗く少女の前に、
ぶっきら棒な年上の女性が現れる。
狭いそのトンネルの中で過ごす二人だけの時間。
そんな場所だからこそ、互いに少しだけ、素直になれたのかも知れない。

そこに居たからこそ偶然ではなかったが、
そこに行ったからこその偶然の出会い。

長い人生の中で一瞬だけすれ違う、
そんな人物が少女に与えたものとは?

不思議な魅力を備えた女性と、
耳の不自由な少女。
遠く違って近しいもの。
まったりと、甘酸っぱいような、そんな心の交流の不思議なお話。

切々と、情緒豊かに語られる、上質な物語はいかがでしょうか?

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