第2話
【二軍の子 さちの話】
波ちゃんは見た目は、文句なしでした。でも、性格が………。きつめな性格でした。口調がきつい人っていますよね? 波ちゃんは、まさにそれです。友達に対しても、きつい口調で話すので、可愛げはカケラもなかったです。先生にも平気でタメ口、反論してました。
「うるさい」「さいあく」「もーやだ」この3つが波ちゃんの口癖でした。誰も波ちゃんに逆らえない。そんな空気がクラスに漂っていました。
私は、二軍だったので、あまり深い話をしたことはありません。「おはよ」って挨拶する程度ですね。波ちゃんは、自分が気に食わないことがあると機嫌を悪くして自分の思うままにしようとする。ずるがしこいんですよ。
こんなことがありました。日直は、放課後日誌を書いたり教室の掃除をしたりするんですが、それが面倒くさいからと言って、柚さんによく仕事を押しつけていました。
柚さんは、波ちゃんたちからいじめられていましたから。柚さんは三軍でした。だから、いじめられるのはしょうがないんです。三軍の子がいじめられても、誰も何も言わなかったです。ただ見ているだけ。
だって、三軍の子は、クラスにいてもいなくても何も影響しないですからね。一軍の子が欠席すると、「今日静かだな。寂しいな」なんて思うけど、三軍の子が欠席しても「え? 今日いなかったの?」くらいにしか思わないんですよね。
でも、柚さんに対するいじめがヒートアップしていって、さすがに私も「やりすぎなんじゃ?」って思ったことありました。
ミルメークの粉を階段の上からかけたり暴力したりノートや教科書に悪口書いたり。
でも、波ちゃんには言えなかった。だって、言ったら今度は私がいじめの標的になるじゃないですか。そんなの嫌ですよね。
柚さんに対するいじめがひどかったから、波ちゃんが殺されたって聞いた時、柚さんを疑いました。
だって、波ちゃんがいなくなって、1番嬉しいのは、いじめられていた人でしょ? クラスのみんながそう思っていました。
殺されるまで恨みを持たれるなんて………。やっぱり、いじめは良くないですね。
私もいじめていたんじゃないかって? 笑わせないでくださいよ。私は見てみぬふりをしていただけです。決していじめなんてしていません。ただ、可哀想だなって。そう思っていただけです。波ちゃんと共犯みたいな言い方しないでくださいよ。じゃ、私部活あるんで、そろそろいいですか? えー。また話を聞くかもですって? 犯人は柚さんですって。それ以外に考えられません。あんなにひどいいじめ受けてたんだから、心が変になるのもしょうがないですよ。それで、殺しちゃったんですよ。波ちゃんの自業自得ですよ。
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