短編集、鉛の頁を繰るように
- ★★★ Excellent!!!
色々な物語が詰まった短編集作品です。
文字数は少ない物語ですが、ページ数が少なそうだと思って手に取った本が、ズシリと見た目より重かった、みたいな感じです。作品から感じる色も、鉛の色を感じるかもしれません。ダークファンタジー路線と言いますか、全体的に硬質で冷たい。そしてこの予想外の重さという事で、この短編集はページが鉛で出来ている、と表現したいと思います。
何処か刹那的な哀しさがあり、寂しげな空気。そんな雰囲気の中に、血の通った人間の姿もあり、行間を思わず読まさせられるという部分もあって、短編でありながら、心に残る物語ばかり。
登場人物も印象に残ります。
タイトルのライブラ(天秤)は”短録.リブラリア”の中に出て来る図書館の名前でもあります。完結はなく、これからも物語は紡がれ、この図書館の蔵書は増えていくでしょう。
そう考えてしまうと、この”短録.リブラリア”のラストが怖いものに感じる等、読者が少し想像力を持つと、物語が一気に長編のふり幅を持つという。
ぜひお読みください。