Side:Sakura 2
やられたっ!
バレンタインデーは14日で日曜日で家が隣りの私めちゃめちゃ有利!
毎年お小遣いを貯めてちょっといいチョコレートを渡していたけど、今年は手作りのチョコを送ろうと年明けから母に教わって練習してきた。
腕によりをかけて作るチョコレートと共に、私の想いを届けるのよ!
待っててね誠也くん!!
と思っていたら、学校が休みになる前に靴箱攻撃をしてくる子が居たとは、完全に計算ミスだった。
いや、冷静に考えたら土日会えないなら金曜日に渡す事くらい分かるようなものなのだけれど。
でも送り主は誰なんだろう?
誠也くんが過去に振った子二人は知っている。
諦めの悪い子ならバレンタインデーに限らず常に…なんて事も有り得るだろうけど、誠也くんが振ってからは二人とも何のアクションも無いところを見ると、二人以外の子と思うのが自然だろう。
深く考えても答えが出る筈も無いので、私は授業に集中する事にした。
「なっ!?」
右斜め前の座る誠也くんが妙な声を上げる。
何かあったのかと思って一瞬誠也くんの方へ目を向けたが、何かあった風でも無さそうだったので黒板の方へ目線を戻そうとした。
それほど大きな声では無かったので先生も気にせず授業を続けているし、周りの席の子たちも誠也くんをちらっと見ただけで気にも留めず、授業に戻る為に元の姿勢に直っていった。
一人を除いては。
水原さん?
私の席の右斜め前が誠也くんで、誠也くんの右斜め前が水原さんなので、誠也くんを見れば自然と水原さんも目に入ってくる。
僅かなタイミングではあるけど、他の子が気に留めず授業に戻ったのに対し、水原さんだけ少し長めに誠也くんを見た後、黒板の方向へ向く瞬間にウィンクをしていた。
まさか、誠也くんの靴箱に入っていた箱の送り主は水原さん?
水原さんも誠也くんが好きなの?
そんな…学校一の美女で男子からも女子からも人気のある水原さんが何故誠也くんに?
でなければ、誠也くんの方を見てウィンクなんかしないよね。
水原さんに告白されたら誠也くんはOKしてしまうのではないだろうか。
そんなの絶対嫌だ。
けど、もし水原さんが誠也くんに告白するなんて事になった時、私にはそれを止める権利なんか無い。
誠也くんが断ってくれる事を祈るしか無いけど、相手は水原さん…断る理由なんか何も無い気がして絶望感しか無い。
そこから授業の内容なんか何も入って来ず、最悪のシナリオだけが頭の中でぐるぐる回っていた。
どうしよう…ネガティブな思いだけで涙が出そうになっていた。
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