熊を放ち、戦友の子を育てる

前線に送ることのできる3タイプの改造ユニットがあった。

前衛となる強化歩兵、後衛となる狙撃兵、それに熊だ。熊は能力ステータスは高いが、集団行動ができず、多勢を相手にすると脆い。

しかし、少数部隊を狙ったり、前線を混乱させたりするのには向いていた。


今は屋内戦。熊の使い時だろう。

私はドアノブのない扉を開け、敵陣に飛び込むと、時間差なしに熊を放った。

次の瞬間には逃げなくては。私は慌てて戻ろうとするが、扉が閉じつつあった。ドアノブもないので、開くことができない。

予想外のピンチだ。だが、仲間が開けてくれたので、なんとかなった。


回想に入る。

両親は私に何かを問い詰めていた。だが、私はそれを振り払う。

両親を説得し、私はその子を自分で育てると宣言した。


戦場は片がついていた。戦場といっても二階建ての粗末な建物だ。

敵がいなくなり、廃墟同然のその場所を私たちは探索した。そして、見つける。

それは男の子だった。おかっぱのような髪型をしていたが、喋ると利発そうに見える。


「俺はお前の父の戦友だ。これからは一緒に暮らそう」


男の子はやたら賢く、何やら聡明なことを言うので、問題なく彼を連れ出した。

私たちはタバコ屋の二階で暮らすことになる。あとは忘れた。

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「夢見る人」深き眠りの七百階段 ニャルさま @nyar-sama

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