着眼点が面白い。
作者様の武器や防具への考察が楽しい作品です。
私見ですが、刀剣は数人斬ったら刃こぼれして切れなくなったりすると聞いたことがあります。
戦場で最高の武器はスコップだ、等とも言う。
また、私が昔見た記事では、とある国で暴動が起きたとき、多く使われた武器はバットだったということが書かれていた。手元に当時読んだ記事もないので、やや正確性に欠ける記憶だが、わざわざ中心部に「バット」と大書された物まであり、記者が棍棒と見間違えたわけではないらしい。
単なる角材とかと違って、力を込めて握り易い形状をしてる。購入費用は銃器より安いし、身分証明書も要らない。それを持って仲間と集合しているところを警察機構(騎士・領主府)に見咎められても言い訳がきく。
つまり意外な物に想定外の用途で実用性があったりする。この世は奇なり。
購入費用・入手難度・メンテナンス性能(頑丈さも含めて)・携帯性(長さ大きさ重量)・穏健性(持ち歩いても権力者側に見咎められないか)
護身用として身につけるなら、こうゆう条件を満たす物品が良いのかも知れない。異世界と現代に共通してこれらの条件を満たす武器は、そうです、鍋です。
タイトルの通り、主人公が本当に鍋で戦います。
しかし鍋と侮るなかれ、その鍋はただの鍋ではなく、強力なマジックアイテムだった!
と書けば俺TUEEE系統の話かなと思わせてしまいますが、普通に死にかけます。
そこが本作の妙味といいますか、魔法や強力な武器がありつつも、生死紙一重の泥臭い戦闘を表現する手腕がすごいのです。
そして戦闘だけでなく日常生活の描写も、世界の息遣いを感じさせるほど真に迫っています。
緻密な描写が続くのですが、なによりそれを重苦しく思わせないようなコミカルなやり取りが、本作を軽妙なテンポで読み進めさせてくれます。
リアルな作風が苦手な方でも、お勧めできる作品です。
そして最後に一言、
平坦っていいよね。
どうやら好きな作家さんが好きな作品のようなので追っ掛けて読んでみました。
まだ数話ですが、うん、当たりだと思う。
それもかなりの当たり。
甲冑の蘊蓄とか中世ドイツ風の世界とか言われてもよく分かんないけど、何となく分かるように丁寧に書いてくれてる。
ついていけるし、面白いからついていこうと思える。
大枠は転生ファンタジーなんだよね。ただ作者が他の作品たちとは一線を画す程、病的に武器とか防具の描写に拘る。
そのくせ主人公の武器がチートな鍋というカオスな状態。
その落差に苦笑。
読んだこと無い!面白い!!
勿論funnyでもあるけどinterestingの方かもしれない。
鍋振り回してどうやってのしあがって行くんだろう?
続きを楽しみにしてます。
余裕が無いはずの主人公がちょいちょい挟むバストへの感想が、丁度良いシュールな笑いを緩衝材にしてくれて無理なく読めた。
良くある転生物設定のうち「目立ったチートは無し」なタイプだけど、最初からクライマックス感ある場所に放り出されるから展開がいやにスピーディー。
会話もしつこく無い。
地の文が多く、段落毎に改行とかしてあるタイプでは無いのでソレが苦手な人は読みにくいかも知れない。
だけど活字を愛するタイプの読者なら好きな方は多いと思う。
だからこそ大賞を取ったのだろうけど、納得の作品だった。自分の作品もこんな風に書きたいなと思えた。
凄惨な戦いあり、ラブコメあり、シュールあり、あと平坦なバストありの作品です。是非どうぞ。