恋するレイラは飛翔する

まだ花も葉も無い桜の木の下の、陽光に佇む美少女。
つぶらな瞳は、右は茶色く、左は青みをおびたオッドアイ。
僕が君に出会った日、君はレイラと名乗った。
本名は神呂木 妙《たえ》。
まだ５歳の君には、誰にも知られてはならない秘密があった。
背中を見られてしまったら、羽は生えず、空を飛ぶことができないと、母親が君に教えたから。

大丈夫。僕は秘密を守るから、君の背中には、きっと光の羽が生えるだろう。
君は多分感染しているし、発症は極めて稀だけれど、君の想いが飛翔へと導く。
虹色に輝く光翅《こうし》を広げて、君は空へと美しく飛翔するだろう。

僕は君の秘密を共有し、大人達から君を守る。
司《つかさ》と約束をしたから、僕はずっと君のそばで君を守ろう。

　SF短編を書こうと決めて書き始めたけれど、１万…続きを読む