いつものバス

少年を過ぎてしまった青年の私は、こうレビューしよう。

このバスが目の前を通りかかったとき、再び乗るかと問われれば、首をかしげてしまう。
しかし、車窓の中の乗客の顔を観察するだろう。

まだバスジャックは起きてないのかな。初めて乗るのか。いいなぁ。楽しんでね、と。

あるいは、もうすでにバスは暴走を始めているのかもしれない。
窓から投げ捨てられる助けを求める紙を受け取るかもしれない。
私はそれをポケットにしまって、見なかったことにしよう。絶対に警察になんか届けない。邪魔が入ったら乗客に悪いもの。

少年よ。警察は来ない。さあ、ハンドルを握って。

一見どこかありがちと思いきや。
ペルソナ探偵という既存の小説の様な
テクニックな落ちが面白い作品でした。

ずっと肩に手を置いて話し掛けられている様な緊張感。
夢と現が入れ替わる不思議な感覚。
何度も読みたくなる作品！

一本道のはずなのに、無限に分岐がある。
そんな小説です。

どのジャンルにも収まりきらない、新しい作品だと思います。
拝読すれば精神をハイジャックされることうけあいです。

それがいいのか、悪いのか。
それは読み手であるみなさまの手にゆだねられているのかもしれません。

少なくとも自分は乗りたいです。
きっと素敵なところに連れていってくれるでしょう。
ただ、運行は安全運転でお願いいたします。