新ジャンル作品、重厚さが軽快に表現される名作
- ★★★ Excellent!!!
SFっぽいけど異世界ファンタジーっぽい、だけども近未来のようであり、むしろ全複合?何処か地球に似た文明も持っている惑星の社会、という雰囲気で読み始めると、世界観がつかみやすいかも……いや違うかな……異世界ファンタジーが近未来SFに浸食された感じ?
こんな風に、人に薦める場合のジャンル説明がとてつもなく難しくて、レビューとしては世界観が表現しにくく、これは読んでもらうしかないな、という作品。とにかく肌で感じろ!という路線です。
キャラクターのダークな過去や経験の設定も、刺さる人が多いはず。
文章のリズムが良く、削ぎ落された鋭敏な文体は読みやすさもあり、スピード感が心地よい。各登場人物と、その相関も魅力的です。
主人公に一本の強い芯があり、全くブレないところ、男が惚れる男という感じ。硬派なタイプだけど、斜に構えているわけでもない。
読んでいて見える色のイメージは、白少な目、黒そこそこ、灰色多め、差し色に赤って感じです。あと夕立の後のアスファルトとか土埃の匂いがする。もはや説明を五感に頼るっていう、レビューまでかつてない書き方をしてしまってますが。そういう空気感でありながら、閉塞感がなく、重すぎない絶妙バランス。
とにかく面白く、埋もれさせてはいけない作品です。