最終話 死狩人と死神さま
「……いつ、気付いた?」
思わず面食らった細谷が平静を装い、ポーカーフェースで尋ねる。
「セバスチャンが登場した時から……かな。今まで感じなかった
俺とまりんちゃん絡みで首をつっこんで来そうな
勘が冴え渡るシロヤマの発言は的を射ている。セバスチャンが登場する少し前から、細谷は日本間の外で室内の様子を
まりんが人質にとられ、
消していた気配を出してしまったのは、その時だったに違いない。ほんの少しだけだったが、シロヤマは瞬時にそれを感じ取ったのだろう。
細谷はときどき、こう思うことがある。はたから見ると、シロヤマは死神らしくもないチャラ男のイメージが強いが、締めるところは締めて、気遣いが出来る。人として、死神として、
けどこれはこれで、別問題だよな。そう、思い直した細谷は
「俺がいつ、ビルの屋上でおまえと愛を誓い合った?」
シロヤマの大鎌と槍を交差させながら、極めて冷ややかに問いかける。
「俺が本気で愛しているのは、赤園まりんだけだ!そこを勘違いするなよ!」
物凄い剣幕で
「じゃあ……俺との仲は?」
「おまえとの仲は……」
細谷の剣幕に圧倒され、やや不安げな表情を浮かべるシロヤマに尋ねられ、細谷は言葉を詰まらせた。
「……
細谷にとって、やっとの思いで絞り出せた言葉だった。ほんのり頬を赤らめ、素っ気なく答えた細谷の気遣いを、プラスに受け止めたシロヤマの顔がぱっと明るくなる。
「やっぱり、細谷くん……好き」
「なんでそうなる?!」
恋する乙女と化し、頬を赤らめたシロヤマに、細谷は全力でつっこんだ。
「愛……か」
「おや、あなたにも芽生えましたか?人を愛する気持ちが……」
「思い出したのだよ。かつて、ひとりの女性を愛していたことを……なんの感情もない、無の世界で、長らく死神をやっていると、恋愛が芽生えていた時ですら、忘れるものだな」
「そうですね」
懐かしむように
赤ずきんちゃんと死神さま 番外編~超リアルな死神さま~ 碧居満月 @BlueMoon1016
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます