答案用紙の裏側になにを書く?

【エピローグ】太郎+花子=【 】

 ぼくはお母さんにすべてを打ち明けた。おつかいのお金を賽銭に使ってしまってトマトを買えなかったことじゃあなくて、花子ちゃんを助けてくださいとお願いしたことだ。


 あのあと不思議なことが起きた。夕方のニュースで、本当は電車が通る道を新幹線が走って、それに女の人がかれて死んだという話を聞いた。なんでもその新幹線は、もともと別の場所を走っていて、雷に打たれてワープしたんだとか。それは科学では証明出来ないことだって偉い人が言っていた。

 それを見ていたお母さんが「バックトゥザフューチャーみたいね」と言った。

 バックなんとかはわからなかったけれど、ぼくがやってしまったことだとわかった。だってぼくがお願いした神様は裂雷神さくいかづちのかみ。雷の神様なんだから。だからお母さんにそれを言ったのだ。


「でも太郎たろうは、神様に花子はなこちゃんを助けてって言っただけでしょ? だったら違うんじゃない?」


 涙目になるぼくを、お母さんはやさしく撫でてくれた。



※  ※  ※  ※



 それからしばらくして、お母さんが花子ちゃんを連れて来た。


「花子ちゃんのお母さまがお亡くなりになられてね。親戚の方もお忙しいみたいだから、うちに来てもらうことにしたの。ほら、太郎は花子ちゃんと仲良しでしょ?」


 ぼくに許可なく連れて来るなんて勝手なお母さんだなと思ったけれど、良いことなので素直に頷いた。

 花子ちゃんが前に出て、まっすぐぼくを見る。今までにないくらいに透き通った瞳。


「太郎くんの言ったとおりになったよ。約束通り、その」

「うん。結婚し——」

「だーめよ! まだ二人は結婚出来ないわ」

「えぇ……」


 お母さん空気読んでよ。


「二人がこれからもずっと仲良く出来て、お互いが大人になったときもそのまま仲が良かったら、そのときにもう一度決めなさい」


 ぼくと花子ちゃんは二人して頷いた。


「これからは二人とも私の子供だからね。花子ちゃん、よろしくね!」

「はい!」


 これから花子ちゃんは、家族になる。

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おかしな算数とありきたりな小説 詩一 @serch

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