彼女の魔法が少年にもたらすものは、好運か――

高校生・岩濱成行は、ひょんなことから、同級生の美少女・静所(おとなし)見事(みこと)が猫と話しているところに出くわしてしまう。

そこから始まるボーイ・ミーツ・ガールのストーリィ……と思いきや、美少女・見事が魔法使い――魔女であることを知り、それが成行の十年前の過去に出会った「本の魔法使い」の記憶を蘇らせ――気がついたら成行が謎の男たちに拉致監禁されてしまうという怒涛の展開を迎える。

成行と見事、見事の姉・アリサや母・雷鳴の軽妙な会話のやり取りを見ているうちにはライトでポップと思わせつつ、魔法とは、魔法の本とは、という謎が重低音でストーリィに深い響きを与え、読む者にハラハラドキドキを与えてくれます。
主人公の成行もそうですが、見事、アリサ、雷鳴といったキャラクターも魅力的で、読んでいて楽しいです。

日常から、魔法使いがいる日常へ――それをリアルかつ面白く描いた、逸品です。

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