その男!霊術を操り闇に巣食う妖を、今宵もどこかで蒐集する……。

 不思議な力で自らの妖を使役して、怪異を撒き散らす妖を、霊術を使い絵に縛るという、青龍寺環。彼のその背後を守る、白銀のキツネ。

 妖が生まれるシーン。又、妖が狩られるシーン。など、リアルで、迫力を伴った描写で物語を牽引していく。
 なぜ妖がこの世に巣食うのか? 妖は本来人の行いや、人の心の闇からの悪想念によって生まれ変わり、人々に報復するのかが、こちらの本書から伝わってくる。

 一見して、妖怪バトルファンタジーに窺えるが、彼を取り巻く人間ドラマにも注目したい。心に闇を持つ、ひねくれ者で有る主人公。彼を取り巻く家族達。更には、当事者である憑かれし人々と、人に取り憑く様々な妖達。

 やがて出会う、柚莉という謎の少年……。

 物語が進むうちに、柚莉の真の力の謎が明かされて行くが……。

 現代の怪異を狩る、ホラーファンタジー。

 物語の結末にきっとアナタも、その理(ことわり)の存在に気付くだろう?

 

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