蒐集家が真に欲したもの

強い力を持ちながら、その力ゆえに退屈していた主人公・環。
鬱屈した毎日の中で彼が見つけた「楽しいこと」は妖怪の蒐集だった。

だが、そんな生活の中でのとある人物との邂逅をきっかけに、徐々に彼の中で変化が訪れる……。

妖に翻弄される被害者(自業自得だったりもする)が紡ぐ人間の因縁をはじめ、環の使役する「式」のバトルアクションと、土地神や妖怪といった異形のものたちとの交流と、見どころも多い。
登場する人物も、ひねくれ者の主人公の他、お人好しの弥勒院や主人公を見守る家族たち、暗い側面を持つ青龍寺本家と、個性的である。

だが、やはり一番重要となってくるのは主人公の気持ちを変えることになる「とある人物」であろう。

主人公が出会いを通して自分の気持ちに気づき、不器用ながら向き合おうとする様を見ていると、彼の家族同様見守りたい気持ちになってしまう。

大学生編ということで、新章での続きも楽しみになる作品だ。

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