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「……わかった。その人にそれを許しているのが、気に入らない訳ね」


「そうよ! 私のガマンは一体何だったの!」


「まあ、同じなんだろうね、アンタと」


「……」


「アイスコーヒーガマンしても一緒に過ごしたかったアンタみたいに、自分のこだわり引っ込めても、その人といたいんだろ」



「正論聞きたい訳じゃないー!」



「まあまあ。もう時間だろ? 式場まで送って行くから」


「……うん、ありがと」




「……実は俺、熱いもの、大好きなんだ、甘いものは苦手で」


「え?」


「でも、アンタが旨そうにケーキとかパフェ食べるとこ見ると、結構楽しくてさ、幸せそうで、嬉しくて」


「ゴメン」


「謝らないで。再確認しただけ。俺、考えてたより、アンタが好きみたいだなって」




「今度は私が付き合うよ。鍋でも焼肉でも。……冷ましてから食べるかも知れないけど」


「楽しみにしてます。ほら、早く。大好きな従姉の結婚式だろ」


「うん!」




ブーケ貰えたらいいな、というのはちょっと図々しい気がしたので、心の中でそっと呟いた。




同時に、どうしたら猫舌を治せるか、本気で考えてしまった。




あの人の時よりも、もっと、ずっと、真剣に。







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珈琲 清見こうじ @nikoutako

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