高校生活と海での描写がマッチしていて、悩むこと自体も青春のワンシーンであるように感じさせる。それは決して大人ぶったおままごと的苦悩ではなく、一個の人格としての憂いである。海の持つ、癒しと畏怖とをしっかり描き出していることで苦悩を深みへといざなっている。海にある魔力とも言うべき雄大さに、少年少女は苦悩を洗いざらいさらけ出す。
私は関西人ですので関西人らしく、この作品を説明するなら、しゅっとしてる、です。本当にうまくまとまっており、作品としてのすごさがうかがい知れます。
投稿者様は良く海を見ておられるのでしょう。海というものが見せるあらゆる表情をたくさんの言葉にして表現されています。登場人物の心象を「海」というツールを用いて書ききったとても瑞々しさを感じる傑作だと思います。
鮮やかな情景描写、後半へいくにつれて動き出す心情に心を掴まれました。もう一度読みたいと思う作品です。まだ高校生という作者のこれからに期待しています。
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