精霊の神隠し

　夏休みを利用して母の実家である田舎にやってきた少年。その地には『鎮守の森』と呼ばれ人が足を踏み入れることを禁じられた神域があった。

「鎮守の森へは入るべからず」

　祖父母に忠告されるが、少年はその言葉を聞き流し神域へ足を踏み入れる。

　神域を散策する少年は、そこで不可思議な場所を見つける。古い井戸だけがぽつんと置かれ拓けた空間。そのかたわらで鎮座する１匹の小さな犬。

　薄汚れ乱れきった毛並みに不潔さを漂わせる犬は突如として少年に運命を投げ掛ける。

「君は命を狙われる」

　その言葉と共に少年の運命が動き出す。

　零時の鐘が鳴ると同時に突然現れた2人組。その男たちに連れられ、少年の命を狙う謎の人物から逃れるために古井戸に身を投げる。そこで目にした光景は目を疑うものだった。

　意…続きを読む