バーテンの話に見せかけた冒険者の話。と思わせて実は職人の話。

読んで行く内に印象が二転三転する、非常に面白い作品。

本来私は俺TUEEE!的な作品はあまり好みません。都合好く、出会う仲間が実は最強クラス、というのも好きではないです。本来は。

しかしこの作品は違います。希有なことにソレがいいアクセントになっています。

そして酒に対する造形もふかいです。一見バーテンのウンチク話にも見えますが、ある程度の知識があると、印象がかなり変わって来ます。

一見人の良さそうな主人公ですが、現実で一律であの値段を付けるバーテンダーは、かなりの自信家です。
何故なら「東京の一流ホテルのバーの相場」が大体アレくらいです。しかも一律では有りません。
つまり、あの主人公は
「俺の技術はどんな酒でも一流ホテルのバーの相場の金が取れるくらいに出来る」
という、自信とプライドが有るということです。

最初にいきなり冒険者になり、店を開いたので一見道楽で店をやっているように見えますが、そう考えると途端にこの主人公が、実は技術と経験に゙裏打ちされた職人気質の塊である、という側面が見えてきます。

こんな、見る側面で印象が大きく変わる作品はそうありません。
どの側面からみても面白い、一読する価値はある作品だと思います。

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