第7話 煙草

死刑囚は独り冷たいベッドに横たわり、仲間から取り上げた煙草をくゆらせた。

少しずつ窓から夜の帳が、闇が入り込んできた。

気持ちの高ぶりが少しずつ収まる。


闇の広がりとともに、僧侶がしきりに唱える安心あんじんの世界に入り込んでいく、と考えた。


しかしそんな死刑囚の心の営みは、結局のところ徒労に終わる。

死という現実の壁は、容赦なく死刑囚を追い込んでいく。


しかしまた、どうして俺はあの二人を殺したんだ? 実のところ、俺にも分からない。

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