第11話 視線
死刑囚はゆっくりと大きく吐き出し、煙の行方を目で追った。
そして死刑囚の目に映ったものは。
社会機構の中で身動きできない世界が、あたかも煙を吐き出すように死刑囚の人生を変えてしまった。
毒々しい煙に焚き付けられて、いつの間にか時間の暴力に飲み込まれていた。
その飲み込まれた世界は、誰も居ない浜辺だった。
薄気味悪い灰黒色の雲に覆われた浜辺で、ネイビーブルーの海をたった一人で泳いでいる死刑囚を、誰かが虚ろな目で見ている。
「誰だ、お前は!」
視線に気付いた死刑囚が問いかける。
「It's me!」
声が返ってきた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます