第13話 自由
燃え上がった絶頂に光を奪われた花火のように、それは見た目にも味気ない。
しかし披露宴時に殺害されたという光が、大衆の中に、一時的に写された。
『私が後世のことなぞかまっていたら、だれが今の世の人を笑わせますか』
この世から笑いという笑いが消え、哀しみという哀しみが消え去る-
そう、『人でなしの国』。
そしてそれが、『超人の国』だろう。
裁判官という、超人の。
いつか煙は消えていた。看守の靴音にオドオドしながらの一服ではあった。
が、それでも美味かった。
看守の靴音が遠ざかることを確認すると、最後の煙を一吐きした。
そしてその煙に、どことなく穏やかな色を、部屋全体に感じた。
その時の死刑囚は決して自由のないことを恨む心ではなく、
むしろ束縛下の小さな自由を感謝した。
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