パンドラの箱より生まれた願いを叶える宝石と、それを追い求める秘密結社のエージェントが相棒の「喋る帽子」と共に繰り広げるアクション&スリルの冒険譚。
詩的な美しい文章でつづられた内容は社会と心の闇に鋭い光を投げかけます。
欲望のままに何かを願ってしまうのは、人の心に弱さがあるからこそ。
願いを叶える力が必ずしも邪悪なのではなく、それに溺れてしまったり、そんなものに頼らざるを得ない社会を皆が放置した結果がこの物語なのでしょう。
奇跡などない方が良いのか?
それこそが真の平等なのか?
でも、どうしようもない事情から若くして選択を誤った人が居たとしたら?
単なるバトルファンタジーではなく、色々な事を考えさせてくれる良作です。
心の機微を楽しみたい貴方へ、おススメです!
僕らは誰もが泣きたくないし、笑って暮らしたいし、心穏やかに毎日を過ごしたいはずなのに、どうしようもなく、ダークファンタジーに惹かれてしまう。
切ないシーンに涙し、残酷なシーンに怒る。なんとも言えない暗い雰囲気に心が踊ってしまうのは、なぜなのか? 辛いシーンに心を痛めながら先に進んでしまうのは、なぜなのか?
それはきっと辛い現実の中に、美しさを。悲しい展開の中に、救いを見出しているからかもしれません。
さかたいったさんの『殺戮のダークファイア』は、僕にはそんな風に思える作品でした。
次はあなたがこちらの作品を読んで、なぜ惹かれるのか? その答えを見つけてみて下さい。