死にたがりだと諦めたわたし

この小説には様々な職業?を持った人間?が登場します。
死神に警察官に女子高生に魔王に雷神に非正規社員、幽霊に呪術師までも。

そんな彼らが『死』という概念について深く踏み込んでいきます。

人間ではないキャラクターもたくさん登場しますが、彼らはみな理由があって行動しています。だからこ、そこの小説には深みがある。表層だけではないから。誰かの行動が何かを誘発し、それによってまた何かが発生する。それは残酷であることがほとんどで、同情したくもなりますし、憤りを覚えることもありますが、『死』と言う紛れもない現実の前には太刀打ちすらできません。だからこそ、私たちは生き続けるしかないのです。

特に最終盤で出てきたとある殺人鬼の言葉に、死にたがりの人が抱える心の闇が現れているなと思いました。

そして、八頭や亜紀を筆頭としたキャラクターたちがかかわりあい助け合っていく姿には手に汗握ります。

素敵な作品でした。

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