「Winning!」を読んで世界観を気に入って!こちらの作品を読みました。
ベクターフィールドさんの性格が一貫してながらも、悪魔時代とは違った(設定上必要な)欠陥と成長が見られる所が凄くて唸りました。
冥府や悪魔や非正規の死神等の独自設定が今作では悪用されていて世界観の広さに恍惚としました。
社会に揉まれた人々のどうしようもない諦観や人間のダーティーな部分が程よい重さで書かれながらも、バトルシーン等の要所要所が読んでて童心にかえる程に熱くて格好が良くて魅せられました。
この世界の話がどうやら他にあるようだ、この世界の話が続くようだということが非常に喜ばしいです。今後も楽しませていただきます。
この小説には様々な職業?を持った人間?が登場します。
死神に警察官に女子高生に魔王に雷神に非正規社員、幽霊に呪術師までも。
そんな彼らが『死』という概念について深く踏み込んでいきます。
人間ではないキャラクターもたくさん登場しますが、彼らはみな理由があって行動しています。だからこ、そこの小説には深みがある。表層だけではないから。誰かの行動が何かを誘発し、それによってまた何かが発生する。それは残酷であることがほとんどで、同情したくもなりますし、憤りを覚えることもありますが、『死』と言う紛れもない現実の前には太刀打ちすらできません。だからこそ、私たちは生き続けるしかないのです。
特に最終盤で出てきたとある殺人鬼の言葉に、死にたがりの人が抱える心の闇が現れているなと思いました。
そして、八頭や亜紀を筆頭としたキャラクターたちがかかわりあい助け合っていく姿には手に汗握ります。
素敵な作品でした。
魔王と死神が登場します。
そう書けばとごかおどろおどろしい雰囲気ですが、この物語に登場するキャラクターはどこか違います。
なぜか皆、人間くさいのです。
個人的にはいつも食事中に呼び出されるベクターフィールドが大好きです。
そして映画化してもいいんじゃないとおもえるほどの完成度の高さです。
亜紀はどの女優さんがいいのか、八頭はどの俳優さんがいいのかなと勝手に妄想してしまいます。
それほど物語としての面白さは折紙つきです。
また守る価値がある人間とはというような深いテーマも潜んでいます。
ただ、難しく考える必要はありません。
魅力的なキャラクターたちとスピーディーなストーリー展開にきっと目が離せないでしょう。
文句なしの傑作なので、創作をするひとは必ずいい影響を受けるでしょう。
この作品には、良い所がたくさん有る。
細やかでありながら、大胆な設定。濃厚でありながら、読みやすい描写。迫力の戦闘シーン。
簡単に書き出しても、百点満点中の百点に近い。
だが何より特筆すべきは。本作の登場人物達から、優しさと哀しみ、そして強さも弱さも、美しさも醜さまでもが感じられる点だろう。
……私の語彙力では、このようなありきたりな表現しかできないのがもどかしい。
今、このレビューをご覧の諸兄が「読み応えのある、お腹いっぱいになるような作品が読みたい!」とお望みならば。
私のレビューなど今すぐ読むのを止めて、本作を読むといい。
この『Rising!-雷神×死神/喪女×魔王-』は、間違いなく貴方を満足させてくれるだろうから――