作品に応援いただきましたご縁で、この物語に出会いました。読み終えましたので、レビューさせていただきます。
本作はロボットをメインに据えての、孤独と愛の物語。それがまるで日記のような文体で書かれているが故に読みやすく、そして本当にロボットにも心があるのではないかと錯覚してしまいます。本来備わっていない筈の感情であるからこそ、芽生えたものが本物なのではないかと。また、第三話での展開には、目を丸くしてしまいます。
最後の結末は想像させるものだからこそ、良い余韻を残しながら読み終えることができました。
孤独と愛という誰もが抱えるものに焦点を向けたこの短編。読んだあなたは、どんな感想を持つでしょうか。
他の皆さまも是非読んでみてください。
宇宙からきた記録、そこに残されていたのはすれ違う気持ち……と書いてしまうとなんだかありふれたものになってしまいますが、この作品はさらに読み進めていくと、「ああ、こんなパターンもあったか!」と思わせてくれる短編です。
確かに考えてみれば、現実世界でも完全に二人だけの世界ではなく、周りには様々な環境があって人がいるわけで……それは宇宙でも変わりはないのだなあと思いました。誰かの人生では主人公でも、別の人生では脇役。そんなことを思って、しんみりとさせていただきました。
最後に余韻があるので、「その後」の彼らは想像するしかないのですが、あれこれと思いを巡らせるのもまた楽しいものですね。素敵な時間を、どうもありがとうございました。
さて、ロボットやAIやアンドロイドなどの人造のものが「心」を持っているのか、「愛」を知ることはできるのか。
本作で扱われているこのテーマを語るにおいて古田足日の「アンドロイドアキコ」を持ち出さざるを得ないだろう。詳しい内容は割愛するが、これも本作と同様にアンドロイドが「愛」を知る話であり、これが実に1964年──今から60年近く前に発表された話である。
逆に考えれば、60年近く前からこのテーマは用いられており、いまだに人の心を動かすテーマでもある(星新一のショートショートにも似た短編が複数あるので気になる方は触れてみるのもいいだろう。)。
似たテーマであるものの本作は少し毛色か違うかもしれない。前半部分ではロボット視点で語られるのだが、相手の反応が人間にしてはいまいち薄いというか、違和感を覚える。その正体は後で明かされるのだが納得の結末だった。
もちろん、テーマの持つ力と歴史に裏付けされた、ひたすら心地の良い短編である。