第7話あっ、(察し)
「イルカショーが12時半からだからそれまで私が事前に調べたルートを回ろうと思うんだけどそれでいいかな?」
「了解です」
「それじゃ行こ!まずはお魚さんの水槽エリア!」
ーーー
「サメが、お兄ちゃん!サメが泳いでいる!」
「マジやん!」
「エイがこっちに向かって口をぱくぱくさせてる!」
「キモ可愛い!」
日曜日、ある程度他のお客さんもいるため周りの迷惑にならないように小さくはしゃぐ俺とルナちゃん。
やべぇ……想像以上に楽しい。普段見る魚は切り身の一部と化しているため泳ぐ魚を見るというのが新鮮だ。
「お兄ちゃん!マグロがめちゃくちゃ速い!」
ルナちゃんが指さす水槽を見るとマグロが目まぐるしいスピードで群になって泳いでいる。
「うお、はっや!」
―――
さっきのお魚さんの水槽エリアからの隣のエリアである、癒しのクラゲさんエリアというところに来ている。
「お兄ちゃん。クラゲって……なんでこんなに癒されるんだろう」
「分かんない……」
小さな水槽の中で淡く発光ふよふよと泳ぐクラゲを2人で見つめる。
決まった方向に行くわけではなく、自由にゆらゆらとゆっくり。
このエリアに流れている音楽も相まって、見つめているとなんだか眠たくなってくる。
そんな事を思っていると、右腕にポスっと微かな重みが。
「……ふわっ!」
「ルナちゃん、もしかして……寝ちゃいそうだった?」
いじわるする感じで言葉をニヤニヤな感じにさせて聞く。
すると、
「……う、うん」
恥ずかしそうに下を俯きながら言うルナちゃん。
「可愛っ」
ぎゃんかわすぎんだよ!
「あ、あのさっ早めにお昼ご飯食べない!?」
急かすような様子のルナちゃん。
「あはは、いいよ」
いじわるしてやろうかと思ったがやりすぎは良くない。ルナちゃんに不貞腐れてしまったら……それはそれで可愛いな。
―――
カモメさんの餌場エリアという名のフードコートにやってきた。まだ11時という事もありお客さんもお昼時に比べたら多分少ないのでは無いだろうか。
某ドナルドのファストフード店でフィレオフィッシュのセットを頼んでルナちゃんと貪り食っている。
「でも、意外だな。ルナちゃんの事だから記念にってあの店でなんか食うと思ってた」
あの店とは水族館が直接運営している『dolphin』というお店の事だ。水族館限定メニューというものもあったためルナちゃんが好きそうだなと思ったのだが違ったのだろうか。
「お兄ちゃん、私事前に水族館のこと調べたって言ったよね?」
「うん」
「もちろんここの限定メニューの事も調べたんだけど……高い割に…」
「あっ、察したわ。それ以上は言っちゃダメ」
「それで匿名の掲示板に書いてたんだけど、こういう水族館が直接運営してるところのデザートはともかく料理はだいたいあんまり……」
「アウトだルナちゃん!」
これ以上は不味い。
物理的にルナちゃんの口を塞いだ。
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