第4話悲しいなぁ……

 色々あったもののルナちゃんが事前に調べていた為すぐに布団は買い終えた。


「ねぇ、お兄ちゃん」


「何?」


「今日、夜ご飯作っていい?」


「え、マジで?夜飯作ってくれるの?」


「うん。お兄ちゃんの舌に合うか分からないけど……いいかな?」


「いや、女神か」


「め、女神?」


「可愛い過ぎって事」


「えへへ〜そうかな?」


「そうだよ」


 ……可愛すぎる。




 ―――




「お兄ちゃん、あと少しでご飯できるからお箸とか出してくれる?」


「……うっ、涙が」


「ど、どうしたの?」


「いや、もう自炊するのがほんとにめんどくさくて……俺料理下手だから手間かけて作ってもあんまり美味しくないし……この匂いは完全に美味いやつだし……」


「あ、ちょっとだけ味見してみる?」


「します!」


「カレールーと豚ひき肉と野菜があったからキーマカレー作ってみたんだけど……どうかな?」


 スプーンにひき肉の入ったルーを掬い、俺の口に突っ込むルナちゃん。その瞬間俺の口の中に幸福が広がった。


「……うまぁ」


 少しピリッとするカレーの中に野菜の出汁とひき肉の味がして、めちゃ美味い。


「良かったぁ。お兄ちゃんが不味いって言ったらどうしようと思ってたから」


「作ってもらった料理に文句言う奴は食う資格ないって言われて育ってきたから、絶対言えないかな。文句のつけようも無い味だけど」


「流石お兄ちゃんのお母さん……!」


 ルナちゃんが目をキラキラさせて母に憧れているがどうか、朝起こす時に何故かブチ切れてるうちの母みたいにはならない事を願おう。


 ―――



 飯を食った後のゆったりとした時間。キーマカレーガチで美味かった。俺が作ったカレーとはレベチだわレベチ。最近レベチって言葉を後輩の口からよく聞くわ。


「生まれて初めてちゃんとした採点のカラオケしたよ!」


 俺がどうでもいい事を考えているとルナちゃんがそう興奮気味に話す。


 ルナちゃんが都会っぽい所に行きたいと言うのでa_ROUND1に連れていった。


「ルナちゃん相変わらず歌めちゃくちゃ上手かったわ。AI判定で97点ってレベチすぎるわ」


「小さい頃からおじいちゃんおばあちゃん達とよく歌ってたしね」


 ガチ目のド田舎なので娯楽に飢えてて、新聞とかに載ってるカラオケをみんな買うので一家に一台あるのだが採点がガバガバで歌える曲も選曲が10年前の流行りだったり童謡だけ完璧に揃ってたりして悲しいもんだった。


「ルナちゃんめちゃくちゃ可愛がられてたしね」


「ふふ、懐かしいなぁ……お兄ちゃん、ところでレベチって何?」


「レベルが違い過ぎるの略語?多分だけど」


「お兄ちゃん、言葉の意味よく知らないで使ったのかよ」


「使ってみたかったんだもん。レベチ」


「ふふっ、なにそれ……。ねぇ、お兄ちゃん」


「ん?何?」


「あのさ、そろそろお風呂入らない?」


「あ、先入る?なら風呂沸かして来るね……ってルナちゃん?」


 ルナちゃんに後ろから抱き着かれた。そして、また耳元で囁かれる。


「お兄ちゃん……一緒に入ろうよ」


「え?」



 ―――







【ルナちゃん視点】








 ぎゃあーーーーーーーーーーーっ!ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいッッッ!!!!!!!


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