10年前に結婚の約束をした当時8歳の女の子と同棲する事になりました。

アサブクロ

第1話素でいっちゃってる

俺が16の時。俺に懐いていた女の子がいた。名前はルナちゃん。ハーフの金髪のショートヘアで碧眼の可愛い女の子。雰囲気が犬みたいな女の子だった。


 ある日、公園に呼び出されプロポーズされた。


「お兄ちゃん、結婚してください!」と。


 俺は断って8歳の女の子を泣かせたく無かったため、


「もし、ルナちゃんが10年後も同じ事を思ってたらいいよ」と言った。


 将来は絶対美人になって、イケメンで優しい彼氏でもできるだろう。そんな事を考えてその場はそれで良しとした。


 ―――そして、それから10年が過ぎた。











 ―――






 チュンチュン、チチチ……とスズメの鳴き声で目を覚ます。


 今日は土曜日。学生時代にある程度勉強してちゃんと毎日出席した結果、ホワイトな職場に就職する事ができたため週休二日制の内の1日目をベッドで満喫している。


 1時間前に起きたがだらだらスマホをいじったり少し寝たりしてベッドから起き上がる気になれない。休日だからえーじゃないかという気持ちになる。


 まぁ、休日と言っても彼女もいないし趣味は基本ゆったりインドア派だし特にする事も無いんだが。


「はぁ〜」


 溜息をつきつつ、そろそろ朝ごはん兼昼ごはんでも食うかと昨日の夜のチャーハンをレンチンしようとベッドからのそのそ立ち上がり、冷蔵庫からチャーハンを取り出してレンジにインする。


 その間に顔でも洗うか、とレンジのボタンを押し洗面室に向かっているとピンポーン!と高らかにチャイムが鳴る。


 画面を見ると美人。綺麗な金髪ロングヘアで碧眼のお姉さん。宗教の勧誘だろうか。英会話セットの販売?可愛いのでとりあえずボタンをピッと押し、通話をONにする。


「…何ですか?」


『あの、張本昌磨はりもとしょうまさんでしょうか?』


「はい、そうですけど」


『〜っ!久しぶりお兄ちゃん!』


「お兄ちゃん……」


 画面の向こうの金髪お姉さんに既視感を覚える。懐かしい、犬みたいな動作と表情。


「……まさかルナちゃん!?」


『そうだよ!結婚しに来たよ!』


 え?


「ん?今、結婚しに来たって言った?」


「そうだよ?約束したでしょ?私が8歳の時、10年後も私の気持ちが同じだったら結婚してくれるって!」


 ……ヤバい。忘れてた。


『……まさか、お兄ちゃん、忘れてた?』


 ルナちゃんの泣きそうな声。


「まっさかぁー!忘れてるわけないじゃん!やだなぁもぉー!」


『……とりあえず中に入れて?』


 悲しそうな表情で言葉を発するルナちゃん。


「かしこまりましたぁっ!」


 良心の呵責と申し訳なさから玄関までダッシュで行く俺。レンジからピーピーピー、とチャーハンの温もりを知らせる電子音が聞こえた。

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