これほどとは!

 朝鮮戦争時の日本。ようやく敗戦の痛手から立ち直るきざしが見える反面、結局は米国頼みの景気に複雑な気持ちを抱く人々が多々いた時代。

 そんな状況で、器も神経も小さな愚か者の父をひたすら慕う少年の姿は健気でもあり狂気でもある。少年の母は自殺してからこそ『本領』を発揮し、父子をますます遠ざけていく。

 なにからなにまで恐怖と不条理に縛りつけられた家と家族は、もはやいきつくところまでいきつくしかないのだろう。

 必読本作。

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