第6話 ジャパロボ6

「大日本帝国自衛隊主催! 第5回全国ジャパロボ大会を開会します!」

 いよいよ始まるジャパロボ大会の本選。自衛隊は大会で多くのジャパロボのデータを技術開発に役立てている。司会進行は麻衣が行う。

「それでは本大会を高校時代に3連覇した我らが国民的アイドルにして、皆さんの暮らしを守る現自衛隊ジャパロボ・パイロット! 眠り姫こと広瀬祐奈から有難いご挨拶を頂きます! どうぞ!」

「・・・・・・もう食べれません・・・・・・許してください・・・・・・え? スイーツ? ・・・・・・スイーツは別腹でんがな・・・・・・zzz。」

「・・・・・・それではジャパロボ大会開幕です!」

 全国ジャパロボ大会は祐奈の寝言で始まった。

「お母さんらしいといえば、お母さんらしい。アハッ!」

「そうね。叔母さんは寝てばっかりだもんね。」

「自衛隊の偉い人もなんでお母さんにスピーチをさせるのか理解に苦しむわ。」

 さとみ、すず、イリスの三人も東京都代表で出場する。

「皆さんも頑張ってくださいね! アハッ!」

 フォローしてるんだか、貶しているんだか分からない三人を応援する令和ちゃん。

「それでは第5回全国ジャパロボ大会のルールを説明します。全国を8ブロックに分けてのトーナメント方式で行います。つまり3勝したチームの優勝です。ちなみランダム抽選で、1回戦は東と西のブロック同士の戦いとなります。優勝チームで最後は戦って個人優勝者を決めます。」

 大会の大戦ルールが説明された。

「わ、分かりやすい!?」

「さすが自衛隊ね。」

「そうかしら? 甲子園そのまんまじゃない?」

 さとみたちはトキメキと感動と疑念を感じる。

「それでは一回戦第一試合! 関東ブロック代表と四国ブロック代表の試合です!」

「いきなり私たち!?」

「いきなりハンバーグみたいだね!?」

「あんたたち、遊びに来た訳じゃないのよ。はあ~。」

 遠足気分が抜けない三人。

「その通り。私の二連覇を邪魔したら、味方でも撃ち殺すからな。」

「そ、そんな言い方しなくても!?」

 そこに優子と麻理子が現れる。

「優子!? あなたとの決着はチーム優勝した後で決着を着けてやる!」

「あら~。私にライバルはいないんだけどね。」

「何を!?」

「先に言っておくけど、私の二連覇の邪魔をしたら許さないからね!」

 火花を散らしながら優子はイリスに宣戦布告する。

「あの、あの人たちが怖いんですけど。」

「どうもすいません。私の姉がご迷惑をおかけして。」

「本当は悪い子じゃないんですよ!?」

「どうして私が優子の代わりに謝らないといけないの・・・・・・。」

 イリスと優子の性で他の関東ブロックの都道府県にペコっと頭を下げて謝罪するさとみ、すず、麻理子であった。

 つづく。


「それでは第1回戦第1試合を行います! 関東対四国です! それでは始めてください!」

 いよいよ全国ジャパロボ大会の戦いが始まった。ルールは簡単、地方と地方のサバイバル戦である。

「でも、それっておかしくない?」

「どうしたの? さとみちゃん。」

「私たち関東代表は東京都が5人と他の6都道府県を足して、11人もいるんだよ。それに対して四国さんは4人しかいないんだよ。これっていじめなんじゃない?」

「さとみちゃん、なんていい子なのかしら。うるうる。」

 さとみは意外にも道徳心の強い子だった。

「大丈夫! 東京都代表の私たちが動かなければ6対4。そこまで酷い差じゃないわ。」

「さすがイリスお姉ちゃん!」

「それに全国のジャパロボの出場者を見ても、なんか、地方の地元アピールばっかりで全然強そうなジャパロボもいないんだけど。全国ジャパロボ大会は地方のアピール合戦の場じゃないんだぞ!」

 確かに面白ジャパロボばかりであった。

「ということでさとみ。すずちゃん。私たちは寝るぞ。」

「おお!」

 さとみたちは寝ることにした。

「あの・・・・・・それがダメみたいです。」

 そこに麻理子が現れる。

「どうしたんですか? 麻理子さん。」

「実は・・・・・・うちの優子が真っ先に迎撃に出撃してしまいました。」

「なんですって!?」

 優子は撃墜王の称号を獲得するために先陣をきって飛び出していった。

「でも大丈夫です。」

「え?」

「うちも私以外は寝てますから。」

「zzz。」

「zzz。」

 さとみとイリスは瞬時に眠りについていた。

「・・・・・・あはははは。」

 言葉を失う麻理子。

「麻理子先輩、お茶でも飲みますか?」

「ありがとう。麻理子でいいわよ。」

「ダメですよ。麻理子さんの方が年上なんですから。見事に優勝して無事に高校生を卒業してください!」

「そ、そう。すずちゃん。がんばって優勝しようね。」

 すずと麻理子に絆が芽生え始める。

「はい。ちなみに、ここで寝ているさとみちゃんとイリスさんのジャパロボを破壊してしまえば、麻理子さんの優勝はほぼ確実ですよ。やっちゃいますか?」

 時にすずは友達のさとみを裏切ることもある。

「クスクスクスクス。すずちゃんって面白い子ね。」

「はい。よく言われます。」

「ワッハッハー!」

 仲良くすずと麻理子が笑っている。

「ピピー! ピピー!」

 その時、談笑しているのと寝ているのとで無線が鳴っていることに誰も気づかなかった。

「なんであいつら!? 誰も無線に出ないんだよ!? こいつらヤバいんだけど!?」

 無線は優子からのSOSであった。

 つづく。


「なんなんだ!? こいつらは!?」

 一人で敵地に突撃した前回の優勝者の優子は明らかに押されていた。

「ただのご当地ジャパロボじゃない!?」

 敵の四国ブロック代表はたったの4機。讃岐うどん、阿波踊り、道後温泉、四万十川モチーフの各ジャパロボ。優子1機でも楽勝のはずだった。

「ギャアアアアアア!? 助けて!?」

 ドカーン! っと茨城県代表のコキアジャパロボが倒される。

「一撃!? 一撃でジャパロボを撃破したというのか!? なんという破壊力だ!? あれに当たる訳には行かない!?」

 優子はジャパロボを自由自在に操り敵との距離を測る。

「ギャアアアアアア!? 死にたくないよ!?」

 優子はかわせるが栃木の宇都宮餃子ジャパロボが砲弾を受けて破壊された。

「こいつら!? できる!? ただのジャパロボじゃないぞ!?」

 違和感を感じながら戦っていた優子だが敵の認識が核心に変わる。

「関東ブロックのジャパロボに告ぐ! 全機撤退しろ!」

「なに!?」

「態勢を立て直すんだ! こいつらは危険だ!? ここは私が引き受ける!」

 優子は仲間の関東ブロックのジャパロボたちに撤退を示唆する。

「ふざけるな! 東京ばっかりカッコつけるんじゃねえ!」

「横浜!?」

「やってやる! やってやるぞ! 神奈川だってやれることを見せてやる! うおおおおおおー!」

 神奈川代表の横浜ジャパロボが四国ジャパロボにムキになって突撃する。

「無理だ!? 普通のジャパロボでは!? やめろー!?」

「ギャアアアアアア!? 助けて!? お母さん!?」

「だから言わんこっちゃない!?」

 神奈川代表の横浜ジャパロボは四国ジャパロボの攻撃の前に溶けた。

「こいつらの化けの皮が剥がしてやる! 自衛隊無線解除!」

 こういう不測の事態に備えるために自衛隊所属のジャパロボが潜入女子高生として全国ジャパロボ大会には参戦している。

「ああ、本日は晴天なり。聞こえますか? 本部? どうぞ。」

「はいはい。聞こえます。久美ちゃんです。どうぞ。」

「祐奈教官にリミッターの解除の許可を取ってください。どうぞ。」

「それは無理です。どうぞ。」

「なんで? どうぞ。」

「祐奈教官は熟睡中です。どうぞ。」

「zzz。」

「・・・・・・ですよね。」

 いつもどおり祐奈は眠っていた。

「ということは普段通り好き勝手にやっていいってことだね。どうぞ。」

「親指に朱肉つけて勝手に許可書に指印押しとくから好きにやってね。どうぞ。」

「了解した。自衛隊の名にかけて、テロリスト共は私が撃破する!」

 黒いジャパロボの優子が本気を出す。

 つづく。


「ギャアアアアアア!? 食い殺される!?」

「ガオー!」

 埼玉代表のダサいたまジャパロボが高知代表の四万十川ジャパロボから飛び出してきた土佐犬に噛まれ破壊されていく。

「ダサいたま!? こいつら!? ただのジャパロボじゃないぞ!?」

 優子は気を引き締めて戦闘を仕掛ける。

「くらえ! 化け物! 連続ミサイル! 発射!」

 優子は遠距離ミサイルで先制攻撃を仕掛ける。

「なに!? かわしただと!? 馬鹿な!? 自衛隊04改のミサイルのスピードを避けれるご当地ジャパロボが存在する訳がない!?」

 四国の4体のジャパロボは全てミサイル攻撃をかわした。

「ガオー!」

「しまった!?」

 考え事をしていた優子は間合いに土佐犬を入れてしまった。

「危ない!? ギャアアアアアア!?」

「前橋!?」

 優子の危機を群馬県代表の前橋ジャパロボが身代わりになって助ける。

「どうして!? 私なんかのために!?」

「私たちだって・・・・・・同じ関東ブロックの・・・・・・仲間だから助け合わないとね・・・・・・アハッ! ・・・・・・。」

 そういうと前橋ジャパロボは停止した。

「仲間・・・・・・そうだ。私たちは同じ関東ブロックの仲間なんだ。」

 優子の心に仲間という言葉が染み渡る。

「ガオー!」

 悲しみに暮れる優子を土佐犬が襲い掛かる。

「よくもやってくれたな!」

 優子のジャパロボの鉄拳が土佐犬を一撃で粉砕する。

「!?」

 その光景に四国のジャパロボの4機のパイロットに衝撃が走る。

「前橋は、前橋はいい奴だったんだぞー!」

 勝利絶対主義者の優子に仲間を思う心が芽生える。

「ディズニー!」

「はい!?」

「私がこいつらの相手をしているから、後方で寝ている連中を起こしてこい! 私は死んでいった仲間のためにもこいつらに勝ちたい! 行け! 早く行け!」

「はい! 分かりました!」

 千葉県代表ディズニージャパロボがさとみたちを呼びに行く。

「援軍など呼ばせるか!」

 愛媛県代表の道後温泉ジャパロボがディズニージャパロボに襲い掛かろうとする。

「おまえの相手は私だー!」

 道後温泉ジャパロボの前に立ち塞がり行く手を遮る優子。

「走れ! 私! 友のために!」

 ディズニージャパロボは一生懸命に走った。


「zzz。」

 そんな激戦になっているとも知らないで安らかに眠っているさとみとイリス。

「すずちゃんはどんな男の人が好きなの?」

「えっと、背が高くて、男前で、お金持ちです!」

「キャアアアアアア! ワッハッハー!」

 ガールズトークで盛り上がるすずと麻理子であった。

 つづく。


「ば、バカな!? 私のジャパロボの腕がもげるだと!? 力負けしているというのか!?」

 道後温泉ジャパロボと力比べをしていた優子の自衛隊04改の腕が壊れ始めた。

「優子! パワーを解放して! そうじゃないとあなたのジャパロボが破壊されてしまうわ!」

 久美がデータ解析をし、敵はパワー強化型のジャパロボで優子の機体よりも力が上だった。

「ジャパロボ200パーセント!」

 優子の機体が光を放つ。

「消えた!?」

 そして瞬時に道後温泉ジャパロボと距離を取る。

「ああ、指がボロボロだ。」

 優子のジャパロボは武器が握れなくなってしまった。

「んん? あれは土佐犬・・・・・・じゃないぞ!? スフィンクス!?」

 土佐犬の中からスフィンクスが現れた。

「まさか!?」

 優子は何かに気づいた。

「おまえたち!? 四国代表チームじゃないな!?」

「ワッハッハー!」

 四国代表チームが笑い出した。

「その通りだ! 私たちはエジプトの反大日本帝国同盟エジカイダだ!」

「エジカイダ!?」

 世界征服した日本は世界中の各国から恨まれている。戦いの恨みは全世界に反日本のテロリストを次々と生み出している。そう戦争からは何も生まれないのではない。戦争からは恨みと復讐心を生み出しているのだった。

「そうだ。今頃、本当の四国代表は鳴門の大渦に飲み込まれて海底に沈んでいるだろうよ! ワッハッハー!」

「なんて酷いことを!?」

 エジカイダは本大会に出場するために移動中だった四国代表を鳴門大橋で襲って入れ替わったのだった。

「私たちエジプト代表が優勝して、大日本帝国の全国ジャパロボ大会など終わらせてくれる!」

 エジプト代表は全国ジャパロボ大会でテロ行為を仕掛ける。次々と皮を剥ぎ正体を現すエジカイダのジャパロボたち。

「スフィンクスの飼い主ピラミッド・エジロボ。パイロット、アッシ。」

「パワー強化型ミイラ・ジャパロボ。エジロット、ムルシ。」

「○○クレオパトラ・エジロボ。パイロット、ムバラク。」

「毒サソリのポイズン・スコーピオン・エジロボ。パイロット、サダト。」

 エジカイダの面々が自己紹介する。

「私たち反大日本帝国同盟エジカイダは日本に宣戦布告する! 見せてやろう! エジロボの実力を!」

 エジプトのロボットを略すとエジロボになる。

「絶対に、絶対に許さないぞ! テロリストども! おまえたちの血は何色だ!?」

 優子の怒りは絶頂に達する。

「許さない? どうするというのだ? おまえ如きが1機で何ができるというのだ? ワッハッハー!」

「おまえたちなんか私一人でも十分だ。」

 その時だった。

「ウワアアアアアー!?」

 ドッカーン! っとピラミッド・エジロボが吹き飛んだ。

 つづく。


「アッシ!?」

 いきなりピラミッド・エジロボがキノコ雲をモクモクとあげて爆発した。

「てめえ!? いったい何をしやがった!?」

「待て!? キノコ雲ということは!?」

「まさか!? 核か!?」

「その通りだ。私のジャパロボにはプチ・アトミックボムを装備してあるのだ。おまえたちの機体とはレベルが違うのだよ。レベルが。」

 優子はエジプトのテロリストのエジロボを1機撃墜した。

「何という日本帝国の技術力だ!?」

 エジカイダのパイロットたちは改めて日本の開発技術のレベルの高さに恐怖した。

「今度は私が質問しよう。世界各国のロボットの開発技術はご当地ジャパロボレベルだったはず。なのにおまえたちはどうして、そんな強力なロボットを持っているんだ?」

 優子は素朴な疑問を尋ねてみた。

「先日、ある日本の開発機関から03タイプのジャパロボが盗まれた。」

「東京都ジャパロボ開発機関の強奪事件か!?」

「ジャパロボの強奪に成功した日本のテロリストが03タイプのジャパロボの設計図や開発技術を世界中のテロリストに無償で配ったのだ。」

 反大日本帝国同盟ジャパカイダのことである。

「その情報で世界各国の技術者が03タイプのロボットの開発に乗り出したという訳さ。これで、もう、大日本帝国のロボット開発で優位に立つ時代は終わったな。ワッハッハー!」

「何を!? 大日本帝国はテロリストなどには負けん!」

「それはどうかな? アメリカや中国のテロ集団は05タイプの開発に着手しているという噂もある。」

「05タイプだと!?」

「そうだ! これから起こるぜ! 全世界で大日本帝国に対するクーデターがな! 今回のジャパロボ大会は、そのプレ・イベントさ! ワッハッハー!」

「そうはさせるか! おまえたちの好きにはさせないぞ! 世界の平和は私が守ってみせる!」

 優子はテロリストやいじめに挫けるつもりはない。

「ギャアアアアアア!?」

 その時、ミイラ・エジロボがキノコ雲をあげて爆発した。

「ムルシ!?」

「こいつ!? いつの間に!?」 

 不意をつく優子の攻撃であった。

「残り半分だ。いつまでもデカイ口を叩いていられるかな?」 

 勢い突く優子。

「何を!? おまえの快進撃も終わりだ!」

「それはどうかな? 今度はおまえの番だ! ん? んん? ジャパロボが動かない!? 故障か!?」

 急に優子のジャパロボが動かなくなってしまった。

「ワッハッハー! おまえの機体はもう動かないぞ! おまえにはクレオパトラの呪いがかけられたのだ!」

「クレオパトラの呪いだと!?」

 動けなくなった優子は絶体絶命の危機を迎える。

 つづく。


「ウワアアアアアー!?」

 優子はクレオパトラの呪いで動きを封じ込められ、一方的にポイズン・スコーピオン・エジロボの攻撃を受ける。

「どうだ? 手も足も出まい。何の罪もないエジプトの人々が日本の侵略戦争の性で蹂躙され犠牲になってきたのだ! その痛みを今度は日本が味合うがいい!」

 戦争は悲劇を繰り返させる。

「くらえ! 砂漠のサソリの猛毒を! ポイズン・スコーピオン・ビーム!」

「ウワアアアアアー!?」

 手も足も出せない優子。

「何か・・・・・・何か突破口を探さないと・・・・・・クレオパトラの呪いを打ち破らないと勝機はない・・・・・・あ!?」

 その時、優子は何かを思い出した。

「おい!? 久美!? 久美!? ダメだ!? 無線が壊れてやがる!?」

 ダメージを受け過ぎた優子のジャパロボの無線は既に壊れていた。


「ブレイン・ウェイブ・システム?」

 暫し回想に入る。

「そうだ。簡単にいうと人間の脳波でジャパロボを動かしてしまおうという悪魔の装置だ。」

「どうして悪魔の装置なんだ? 想像するだけでジャパロボを動かせるなんて、便利そうなシステムじゃないか?」

「そう見えるだろ? でもパイロットには相当な負荷がかかる。当然、命の危険もある。」

「ええー!? じゃあ、麻理子はそんな危険なシステムで私たちと戦っていたというのか!?」

「そういうことだ。それに一番厄介なことは、都庁のジャパロボ開発機構から盗まれたジャパロボにもBWS、ブレイン・ウェイブ・システムが搭載されていたらしい。」

「なんだって!?」

「そうだ。もしテロリストの手にブレイン・ウェイブ・システムの設計図が渡ってしまっていたら、これからの戦いは熾烈を極めるだろう。」

 メカニックとして今後の戦いを危惧する久美。

「大丈夫。私は祐奈教官みたいに、どんな戦況でも勝ってみせますよ。アハッ!」

 優子が強くなれたのも祐奈に憧れているからである。祐奈に近づきたいと訓練、訓練の日々を努力で乗り切ってきたのだ。 

「念のために私のブラックを400パーセント増々にできるようにしておいてね。」

「体にかかる負荷が異常な数値になるぞ!? 300パーセントが限界だ!?」

「でも私は負ける訳にはいかないので。アハッ!」

 和やかに回想は終わる。


「クスッ。」

 思い出し笑いをして優子は笑う。

「私は・・・・・・私は・・・・・・どんな状況でも勝ってみせる! ジャパロボ! 300パーセント!」

 優子のジャパロボから艶の良い栄養満点のカラスの様な黒光りが盛大に放出される。

「うおおおおおおー!」

 少しずつ優子の体を蝕みながら。

 つづく。


「バカな!? クレオパトラの呪いを打ち破ったというのか!?」

 呪われて動けなかった優子のジャパロボが動き出した。

「呪いでも、超能力でもない! クレオパトラの呪いの正体は、ブレイン・ウェイブ・システムだ!」

「バレたか!?」

 呪縛から解き放たれ自由に動けるようになった優子。 

「手品のネタさえわかってしまえば、こっちのものだ! いくぞ! テロリスト共!」

 優子の反撃が始まる。

「早い!? なんだあのジャパロボは!? 普通のジャパロボの3倍のスピードはあるぞ!?」

 思わず目がビックになるポイズン・スコーピオン・エジロボのパイロットのサダト。

「いける! これならテロリストに勝てるぞ! 一気に勝負を着けてやる!」

 300パーセント性能アップ状態になった優子のジャパロボに敵はいなかった。

「ギャアアアアアアー! 神は偉大なり!」

 ドカーン! っとクレオパトラ・エジロボがキノコ雲をあげて爆発する。

「ムバラク!? ええ~い!? これが05タイプのジャパロボの実力か!?」

 優子の自衛隊04改は05タイプの試作機であることには違いない。

「これで終わりだ! うおおおおおおー!」

 優子はクレオパトラ・エジロボを倒し、その勢いのままポイズン・スコーピオン・エジロボに向かう。

「ギャア!? やられる!?」

 エジロボは正直、負けを覚悟した。

「ドカーン!」

 しかし、その時、優子のジャパロボから爆発が起こる。

「ウワアアアアアー!?」

 優子のジャパロボはエネルギーを失くし不時着する。

「なんだ!? 機体が300パーセント性能アップに耐えられなかったのか!?」

「どうやらサソリの毒が効いてきたようだな。」

「サソリの毒?」

「そうだ。闇雲におまえに攻撃を仕掛けていた訳ではない。ジャパロボの燃料部分、エンジン部、関節部分を集中的に攻撃してきたのだ。どんなに高性能でも燃料のガソリンが無ければ動くこともできまい!」

 計画されたポイズン・スコーピオン・エジロボの攻撃だった。

「何を!? 動け!? 動け!? 私はこんな所で負ける訳にはいかないんだ!?」

 優子のジャパロボは傷だらけで確かにガソリンタンクに穴が開いていてガソリンが漏れていた。

「我々の勝ちだ! エジプトが味わった屈辱を味合うがいい! 死ね! 日本の犬ども!」

 ポイズン・スコーピオン・エジロボが尻尾を突き上げて優子を貫こうとする。

「無念だ・・・・・・。」

 潔く優子はコクピットから脱出することなく死を覚悟する。

「ドカーン!」

 その時、サソリの尻尾が爆発する。

「あ、アイツら!?」

 優子の目に2機のジャパロボの姿が映る。

 つづく。


「当たっちゃった。超長距離なんだけど。」

「さすが麻理子さん。」

「間に合って良かった。まさか優子が、あんなにボロボロにされてるなんて。」

 現れたのはすずと麻理子の二人だった。

「間に合ったんだな・・・・・・。」

 優子は千葉県代表のジャパロボが助けを呼んできてくれると信じていた。仲間だから。意思の強い優子は心がブレることはなかった。


「た・・・・・・助けてください!」

 回想が始まる。

「あれは千葉県代表のジャパロボ!?」

「大丈夫か!? 何があった!?」

 1機のジャパロボがバテバテで駆けてやってきた。

「優子さんが危ないんです! 助けてください! 助けてください! 優子さんを!」

 共に戦った優子と関東ブロックの仲間たちには相手を思いやる友情が芽生えていた。

「優子に勝てるジャパロボなんて私たちしかいないと思うんだけどな? 状況を久美ちゃんに聞いてみるか。」

 自衛隊無線、久美チャンネルをつなぐ麻理子。

「おまえ! こっちが何回も連絡してるんだから出ろよ!」

 久美は怒り狂っていた。

「ど、ど、どうしたの久美ちゃん!?」

 耳がダンボになる麻理子は呆然とする。

「四国代表はエジプトのテロリストだったのよ!」

「テロリスト!?」

「早く優子の救援に向かいなさい!」

「はい!? 了解!?」

 初めて状況を理解した麻理子とすず。

「悪いけど、この二人の面倒を見ていてもらえるかな? 絶対に起きないけど。」

「zzz。」

「わ、分かりました。」

 こんな状況でもさとみとイリスは眠っている。

「いくよ、すずちゃん。」

「はい。麻理子さん。」

 こうして二人は優子の救援に向かった。回想終わる。


「よくも! よくも! 優子さんをやったな! 火の精霊サラマンダー・ファイアー!」

「ギャアアアアアア!? 神よー!」

 すずのジャパロボが火の鳥を放ちポイズン・スコーピオン・エジロボを焼き尽くす。

「優子、優子、大丈夫なの?」

 麻理子が連絡がないので優子のジャパロボのコクピットをバキバキっとこじ開ける。

「zzz。」

 安堵した優子は力尽きて意識を失っていた。しかし、その表情は良い夢を見ているかのように微笑があった。

「あら? 寝てる。優子にも祐奈教官の遺伝子が感染したのかしら?」

「zzz・・・・・・もう食べれませんって・・・・・・七軒目いくぞ・・・・・・zzz。」

 もちろん祐奈は終始眠り続けている。

「全国ジャパロボ大会第1回戦第1試合は関東ブロックの勝利です!」

「やったー! 勝ちました!」

 辛くも勝った関東代表チーム。これからも全国ジャパロボ大会は激闘を深めていくのであった。

 つづく。

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