2020 ジャパロボ 完成版

渋谷かな

第1話 ジャパロボ1

「ジリリリリリリリリー!」

 目覚まし時計が大きな音を出し朝の訪れを告げる。

「ウワアアアアー!? 遅刻だ!?」

 一人の少女が目を覚まし、ベッドから飛び降りる。

「でやでやでやであやでやであやでやでやでやでやだえやー!」

 そしてかくし芸の様に一瞬で学校に行く準備を整える。

「これで良し! アハッ!」

 少女は制服に着替え終え食卓に向かう。

「お母さん!? なんで起こしてくれなかったの!?」

「さとみは今日から高校生なんだから一人で起きれるでしょ?」

 少女の名前は広瀬さとみ。

「無理! だってお母さんの子供だもの!」

 母親の名前は祐奈。

「私、知っているんだからね! お母さんのあだ名が眠り姫だってことくらい!」

「zzz。」

「こらー! 寝るな!」

 母親の祐奈は瞬時に眠れる魔術師である。

「ふわ~っ! おはよう。おお! 我が愛する娘! さとみちゃん!」

「寝て会話を忘れたのか!?」

 ステキな親子である。

「令和ちゃんは、ちゃんと一人で起きてるわよ!」

「おはようございます。浩太朗さん。」

「誰が里見浩太朗よ!?」

 掴みはOK!

「令和ちゃんはロボットでしょ!?」

「違います! 私はジャパロボ専用AI搭載人型ロボットです!」

「言い切った!?」

 ロボットも人型になる時代であった。

「説明します! さとみちゃんのお母さんの祐奈さんは、全国ジャパロボ大会で高校3連覇を達成し、念願の公務員として自衛隊のジャパロボのパイロットとして入隊した伝説の自衛官です。結婚して森田から広瀬になった節や、勝手に名字を変えた節、現代科学で一人で妊娠、出産したシングルマザー節などがあります。」

「私、寝ていたから良く覚えていないのよね。」

 ナルトやメジャーの様に世襲させてしまった。ウケるといいな。キャラクター創作が楽なんだもの。ということはナルトもメジャーもドラゴンボールも子供世代分は手抜きだね。

「ちなみに真実を知っている私のご先祖の関西弁のジャパロボAI搭載丸型ロボットの明治天皇は逝きました。」

「私が目が覚めたら、明治天皇が破壊されていたのよね。オッホッホッホ。」

「恐るべし!? お母さんの寝相!?」

 お母さんになっても祐奈は祐奈であった。

「さあ! 早く学校に行かないと遅刻するわよ!」

「ヤバイ!? 遅刻だ!? 行くわよ! 令和ちゃん!」

「私はいつでも大丈夫ですよ。浩太朗さん。」

「だから里見浩太朗じゃないって!?」

「行ってきます!」

 こうして祐奈の娘、さとみのジャパロボ・ライフが始まる。

 つづく。


「じゃあ、後はよろしく! 3! 2! 1! zzz。」

 車のジャパロボに乗り込んださとみは深い眠りに一瞬でついた。

「寝るんかい!? ってご先祖様が祐奈さんに突っ込んでいたのが目に浮かびますわ。はあ~。」

 人型AIロボットの令和ちゃんはさとみに、もう期待はしていなかった。

「リンク!」

 令和ちゃんは自分とジャパロボをワイヤレスで接続する。正に技術の進歩である。

「令和ちゃん、行きます!」

 こうして学校に向けて出発する。さとみと令和であった。

「車通学で学校まで行けるなんて幸せ。ドライブ楽しいな。これも祐奈さんが名誉日本帝国人だからね。アハッ!」

 ジャパロボ世界大戦で唯一AI搭載人型ロボット兵器のジャパロボの量産に成功していた日本は全世界の国々を蹂躙した。量産機に搭載したのが祐奈の戦闘データで世界征服に貢献したということで、広瀬家は名誉日本帝国人になった。

「ドカーン!」

「何!?」

 その時、近くの工事現場で爆発が起こる。

「近い!? 現場に急行しなくっちゃ!」

 令和ちゃんはエンジンを噴かせて事故現場に向かう。


「これは!?」

 目撃したのは一部の建設の資材が崩れて悲惨な現場になっていた。

「大変だ!? 誰かが下敷きになっているぞ!?」

「なんですって!?」

 事故現場で建材の下敷きになっている人々がいる。

「ガタガタガタガタ!」

 その時、また一部の建材が崩れて宙から降ってくる。

「危ない!? トランスフォーム!」

 咄嗟に令和ちゃんが叫ぶ。

「ガキン!」

 車型だったジャパロボが変形して人型ロボットになる。

「助けるんだ! うおおおおおー!」

 落ちてきた建材をジャパロボの両手で防ごうと受け止めようとする。

「掴めた!?」

 令和ちゃんは見事に降ってきた建材を受け止めて、周囲の人々や更なる被害を防ぐ。

「ふう、助かった。後は下敷きになった人々を助けるだけね。」

 令和ちゃんは安心して胸を撫で下ろす。

「グサッ!」

 その時、また建材が落下してきてジャパロボの体を貫く。

「う、うそ・・・・・・!?」

 想定外の二次攻撃を防げなかった令和ちゃんは力尽きる。


「ピーボー! ピーポー!」

 救急車の音がする。

「うわあ~! お昼の時間ですか?」

 眠っていたさとみが目を覚ます。

「なんじゃこりゃ!?」

 目を覚ますと、そこは被害現場だった。健在でぺちゃんこになってるコクピット。電気系統がビリビリと放電している。

「令和ちゃん!? ちょっと何があったのよ!? いったいどうなってるのよ!? 私が眠っている間に何があったのよ!?」

 隣で令和ちゃんはぐったりと横たわっていた。寝ていたさとみには何が起こったのか知る由もなかった。

 つづく。


「どうして私が遅刻なのよ!?」

 そしてさとみが学校に着いた頃には11時を回っていた。

「仕方がないでしょ。人助けをしていたんだから。」

「うえーん! 先生に怒られた!」

 さとみは高校初日から遅刻して怒られた。

「さとみさん、お姉さんを見習いなさい。」

 そこに担任のデヴィ女教師が現れる。

「え!? 私にお姉ちゃんがいたの!?」

「要るじゃない!? イリスお姉ちゃんが!?」

「そうだっけ?」

 今まで触れてこなかったが祐奈には娘が二人いるようだ。姉のイリスと妹のさとみ。

「分かった! 遺伝子操作だ! だって私はお父さんの顔を知らないもの!」

「バレたか!?」

 どうやら祐奈は男性と結婚できそうな性格ではない。でも優秀なジャパロボのパイロット適性のある遺伝子を自衛隊が放っておく訳もない。


「祐奈隊員! あなたの遺伝子で生まれた子供です! あなたが育てなさい!」

「zzz。」

「こらー!? 寝るな!?」

「すいません。つい癖で。アハッ!」

「これは自衛隊命令です!」

「ええー!? そんな!? 綾子教官の鬼!」

 こうして処女なのに二人の娘の母親になった祐奈。まだ20代前半であろうから再婚のチャンスはある。ちなみに綾子教官は祐奈の永遠の上官である。懐かしい。

 祐奈はシングルマザーで、知らない間に生まれた子供を自分の子供として育てらされているといったところが無難な着地点である。

「自衛隊って恐ろしい組織ですね。」

 正式名称は、日本帝国自衛隊らしい。

 

「ちょっと!? 聞いてるんですか? さとみさん?」

「zzz。」

 しかし、さとみは瞬時に眠っていた。

「まったく最近の若い人ときたら。プン!」

 デヴィ先生は怒りながら去って行った。

「狸寝入り成功!」

「起きていたのね!? さとみちゃん!?」

「もちろんよ! アハッ!」

 なかなか小賢しいさとみであった。

「大丈夫? さとみちゃん。」

「すずちゃん! 良かった! また同じクラスだね。」

「高校生になっても、さとみちゃんは相変わらずだね。」

「そうなの。人ってそう簡単には変われないものよ。」

「アッハッハッハ!」

 さとみの友達の石原すずである。二人は同じ中学校から同じ高校に入学した。

「さとみちゃんはもちろん出るんでしょ?」

「何に?」

「全国ジャパロボ大会。」

「zzz。」

「こらー!? 寝るな! 戻ってこい! さとみちゃん!」

「ふわ~! もうお昼ご飯の時間かな?」

「なんでやねん!」

 こうしてさとみは母と同様に全国ジャパロボ大会に導かれるのだった。

 つづく。

「マジか!? これじゃあマジでラブライプと同じ展開じゃないか!?」

 それでいいのだ。

 つづく。


「出ないよ。だって私のジャパロボは、今朝、令和ちゃんが壊したもの。」

「ええー!? 私の性ですか!?」

「zzz。」

「いちいち寝るな!」

 人命救助をしていて事故でジャパロボは壊れてしまった。

「さとみちゃんなら自衛隊から新型機が届くんじゃない?」

「そんなことないでしょう? だって私はただの女子高生だもの。」

「でも、さとみちゃんのお母さんの祐奈さんも女子高生でジャパロボのパイロットになったのよね?」

「はい。そうです。」

「令和ちゃん、お母さんって、どうやってジャパロボのパイロットになったの?」

「私も知りたい! マンダムみたいに基地に潜入して強奪したの!?」

 二人の女子高生は興味津々である。

「我が一族のデータによりますと、寝ぼけていた祐奈さんがトイレと間違えてジャパロボのコクピットに乗り込んだとあります。その時、不幸にも我がご先祖のAI明治天皇が取り付けられていたと記録があります。」

 恐るべし、祐奈伝説。

「お母さんなら、やりかねないわ!?」

「マジ! さとみちゃんのお母さんリスペクトだわ!」

 困った女子高生たち。

「キャアアアアアアー!」

 その時、突風が吹き荒れる。

「臨時ニュースです! 日本上空で台風が発生しました! 生徒の皆さんは物にしがみついて飛ばされないで下さい!」

「マジか!?」

 イマドキの台風は日本の領土の上空で発生する時代になった。

「大丈夫!? さとみちゃん・・・・・・がいない!?」

「あそこ!? さとみちゃんは寝ていたから台風の発生に気づいていないんだわ!?」

「zzz。」

 台風が来ても眠り続けるさとみ。さすが眠り姫祐奈の遺伝子を引き継ぐ者である。


「ふわ~! よく寝た! そろそろデザートの時間ですか? あれ? ここはどこだ?」

 目覚めたさとみは風の中にいた。

「私は風の精霊シルフィード。」

「風の精霊?」

「そうです。今、この世界に危機が訪れようとしています。」

「zzz。」

「こらー! 寝るな!」

「すいません。お約束なので。」

「あなたに私の風の力を与えます。どうか、この滅びゆく世界を救ってください。」

「私になんか無理よ!? ただでさえ最強のお母さんと優秀なお姉ちゃんと比べられて、私なんて最低だって、みんなに思われているんだもの。」

 実はさとみは二世タレントとしての悩みを抱えていた。優秀な母親と姉と比べらて傷ついていたのだった。

「私の力を宿したジャパロボを与えます。この風を操る機体で覆しなさい。他人が勝手に決めたあなたを。そして、あなたが勝手に作った高い壁を。風を手にしたあなたは自由に飛べるのだから。」

「私は自由・・・・・・私でもやればできるの? でも、やってみないと分からないはずだ・・・・・・。いや、私もやればできる子になれるはずだ! 私はやれる子になってみせる!」

 さとみは新しいジャパロボを手に入れた。

 つづく。


「惜しい人を亡くした。安らかに眠れ。さとみちゃん。」

「私の浩太朗さんが!? 浩太朗さんが!? シクシク。」

 さとみの友達のすずとAIロボットの令和は涙を零して悲しんでいた。

「勝手に殺すな!」

 その時、台風をかき消すようにさとみの声と共に一台のジャパロボが空から舞い降りる。

「その声は!? さとみちゃん!?」

「zzz。」

「こらー! 寝るなよ!?」

「ごめんごめん。つい癖で。アハッ!」

 掴みはOK。

「ただいま。すずちゃん。令和ちゃん。」

「おかえりなさい。さとみちゃん。」

「あのジャパロボは何?」

「台風さんがくれたの。」

「ええー!? ジャパロボって科学技術モノじゃなかったの!?」

「遂に異世界ファンタジーまで実装したか!?」

 衝撃の展開である。

「大気のある所なら、どこでも風の力を使えるんだって。」

「便利。シャワーした後のドライヤーになるわね。」

「できる! 私は美容師さんにもなれる!」

「そこ力説する所かしら?」

 相変わらずな3人。

「台風さんが言うには、私に世界を救えって。」

「ええー!? 魔神英雄伝ワタ〇!? それとも魔法剣士レイヤー〇!?」

「よくジャパロボで、上記の作品路線に似せることができるわね。」

 どんな作品でも物語でも戦いでも、結局は同じ展開になるのはよくあること。

「疾風のジャパロボ。風の精霊シルフィードが宿る機体。力がなければ嘆いたり、恨んだり、何もできなかったり。でも力を手に入れた、今の私なら何でもできるかもしれない。」

 新しいジャパロボがさとみに勇気と自信を与えてくれる。

「ちょっと待って!?」

 そこに令和ちゃんが声を慌ててあげる。

「元々ジャパロボのAIの私はどうなるのよ!?」

「大丈夫! 竜神丸はいないわよ! もちろん、この風のジャパロボを操縦するのも令和ちゃんの仕事よ!」

「良かった。ふう~。」

 自分の居場所が守れて喜ぶ令和ちゃん。

「でも、風の精霊シルフィードはいるわよ!」

「ガーン!?」

 なんと操縦席にAIロボットの令和ちゃんと風の精霊シルフィードのダブルチームである。

「私の出番が減る!?」

「大丈夫よ。だって私は寝るから。令和ちゃんとシルフィードの二人で仲良く話を進めてね。」

「いいの!? さとみちゃん!?」

「いいのよ。だって私は眠いんだもの。アハッ!」

「大好き! さとみちゃん!」

「私も大好きよ! 令和ちゃん!」

 友情を確かめ合うさとみと令和。

「いいな。私もAIロボットが欲しくなってきちゃった。」

 危険な考えを持ってしまったすずであった。

 つづく。


「ここで問題発生だわ!?」

「どうしたの!? さとみちゃん!?」

 何か事件が起こったみたいだ。

「風のジャパロボの活躍を描くか、すずちゃんのジャパロボを登場させるか、どちらを先に描くか悩んでいるの。」

「さとみちゃん! ごめんなさい! 大切なお友達のあなたを悩ませてしまって!」

「zzz。」

「いい所で寝るなよ!」

「ごめんごめん。冒頭の掴みだから。アハッ!」

 仕切り直す。

「いいのよ! すずちゃん! だって私たち友達でしょ! アハッ!」

「臭い青春ドラマを見ているようです。」

 呆れるAIロボットの令和ちゃん。

「それなら両方すればいいんじゃないですか?」

 令和ちゃんが提言する。

「おお! グット・アイデア!」

「教えてくれてありがとう! 令和ちゃん!」

「どういたしまして。これでも優秀なAIロボットですから。アハッ!」

「がんばろう! 1話で2行程!」

「おお!」

 物語が始まる。

「臨時ニュースです! 突然、富士山が噴火しました!」

「なんですって!?」

「溶岩が東京に降り注いでいます!」

「いけない!? 何とかしなくっちゃ! 行くわよ! 令和ちゃん!」

「はい!」

「いでよ! 風の精霊のジャパロボ・シルフィードよ!」

「おお!」

 さとみのジャパロボが風の中から颯爽と現れる。そして、さとみと令和ちゃんを吸収してコクピットに乗せる。

「シルフィード! 飛んでくる溶岩を吹き飛ばせ!」

「任せろ! シルフィード・ウインド!」

 風のジャパロボが強風を起こし、富士山から東京に降り注ぐ溶岩を吹き飛ばしていく。

「これで東京も大丈夫ね。」

「まだよ!? 地面をマグマが流れているわ!?」

「なんですって!?」

 富士山から流れ出すマグマが東京に迫っていく。

「シルフィード!? 風でマグマを吹き飛ばせない!?」

「無理だ。私が扱えるのは風だけ。火は扱うことができないんだ。」

「そんな!?」

 さとみはお手上げだった。

「さとみちゃんが頑張っているのに、私は何もできない。このままではマグマで東京が壊滅しちゃう!? 何か!? 何か私にできることはないの!?」

 すずは自分の無力さを痛感した。そして自分にも何かできる力が欲しいと心から願った。

「汝に私の力を与えよう!」

 すずは流れてくる溶岩に飲み込まれた。

「さあ! 我が名を叫べ!」

「サラマンダー!」

 火の中から火のジャパロボが現れる。そして全ての溶岩を吸収する。

「スゴイ!? これが私のジャパロボ!?」

 すすのジャパロボのおかげでマグマが干上がって東京は守られた。

 つづく。


「すごいね! すずちゃんのジャパロボ!」

「風の精霊サラマンダーの烈火のジャパロボなの。アハッ!」

 富士山の大噴火から東京を守ったさとみとすず。二人はお互いの健闘を称えるのだった。

「良かった。これで二人で全国ジャパロボ大会に参戦できますね。」

「zzz。」

「こらー! 寝るな!」

「お約束なので。アハッ!」

 掴みはOK!

「ジャパロボ大会か・・・・・・お母さんが高校三年間で三連覇してるんだよね。私には荷が重いというか、トラウマになりそうというか。」

「ヒロインの子供も大変なのね。」

「そうなのよ。優秀なお母さんを持つと娘は大変なのよ。」

 さとみは偉大な母親に苦労していた。

「さとみ! あなたが全国ジャパロボ大会に出場するですって!?」

 その時、大きな声で意義を唱える少女が現れる。

「私は広瀬イリス。あなたのお姉ちゃんです!」

 現れたのはさとみの姉のイリスだった。

「zzz。」

 さとみはいつものようにいきなり眠る。

「寝るな!? 我が妹よ!?」

「つい。お約束で。アハッ!」

「zzz。」

 イリスもいつものようにいきなり眠る。

「おい!? お姉ちゃんも寝るなよ!?」

「これもお母さんの細胞の性ね。」

「あなたたち似た者姉妹ね。アハッ!」

 ということで生き別れの初対面のさとみの姉、イリスが現れる。

「全国ジャパロボ大会には私が出る! さとみ! あなたは妹らしく引っ込んでいなさい!」

「嫌よ! 私だって高校生! 16才以上はeスポーツに出場資格はある!」

 姉妹で対峙する。

「でも、イリスさんって、昨年の全国ジャパロボ大会では2位だったんですよね?」

「グサッ!? 2位じゃダメですか!? 2位じゃ!?」

 優秀なイリスでも全国ジャパロボ大会は厳しく制覇できなかった。

「ということは!? 私が初出場で初優勝すれば!? 私はイリスお姉ちゃんを超えたことになる!?」

「下克上ですね!」

「確かに優秀な姉、ダメな妹から、姉妹揃って、自慢の娘になれるチャンス!」

 すずと令和がさとみをたきつける。

「よし! 今年の全国ジャパロボ大会で私は優勝する!」

 堂々と優勝宣言をするさとみ。

「あなたたち姉妹には無理よ!」

 その時、どこかから少女の声がする。

「おまえは!? 竹内優子!?」

 現れた少女は竹内優子。

「誰? 自殺した人?」

「違う!? あいつは・・・・・・前回の全国ジャパロボ大会の優勝者だ!?」

「なんですって!?」

 風雲急を告げる天界に突入する。

 つづく。


「前回大会の優勝者!?」

 広瀬姉妹の前に現れた竹内優子は前回の全国ジャパロボ大会で優勝していた。

「そうよ。私が優勝候補ナンバー1だったイリスを倒して、優勝したのだ! ワッハッハー!」

 勝気な正確な優子。

「今度こそ、あなたを倒して、私が優勝してみせる!」

「それは無理ね。」

「なに!?」

「なぜなら、あなたたち姉妹は今日ここで死ぬのだから!」

 すると、どこからか優子のジャパロボが現れる。

「させるか! 来い! 私のジャパロボ!」

 今の時代、ジャパロボは呼べば現れる。

「あの武器は!? 前回大会で私が倒された!?」

 イリスはジャパロボに乗り込む。

「まずは生意気な妹からだ! くらえ! 必殺! プチ・アトミックボム!」

 説明しよう。プチ・アトミックボムとは、ジャパロボを一機吹き飛ばせるぐらいのプチな核爆弾である。

「キャアアアアアア!?」

 プチ・アトミックボムがさとみを襲う。

「させるか!?」

 イリスが身を挺してさとみをかばう。

「ドカーン!」

 プチなキノコ雲が上がる。

「お姉ちゃん!?」

 煙の中から残ったのはボロボロになりながらも妹を守った姉のジャパロボだった。

「お姉ちゃん!? イリスお姉ちゃん大丈夫!?」

 コクピットに駆け寄るさとみ。

「さと・・・・・・み・・・・・・無事・・・・・・だった?」

「お姉ちゃん!? どうして私なんかを助けるのよ!?」

「だって・・・・・・さとみは・・・・・・私の・・・・・・カワイイ・・・・・・妹だから・・・・・・不器用な・・・・・・お姉ちゃんで・・・・・・ごめんね。」

「お姉ちゃん!?」

 バタっと涙を零しながらイリスは瞳を閉じる。

「お姉ちゃん!? イリスお姉ちゃんー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 姉を失った悲しみの雄叫びを上げるさとみ。

「ラッキー! これでライバルを倒せた! 後は祐奈さん遺伝子を持つ妹の方を倒してしまえば、今大会も私の優勝は確実だ! イヤッホー!」

 優子はプチ・アトミックボムの照準を泣いているさとみに合わせる。


(いけない!? このままではさとみが危ない!?)

 死して妹を心配するイリス。

(あなたの妹を思う強い心を見せてもらい感動して涙が止まりません! うおおおおおー! 私があなたに妹さんを救う力を与えましょう! さあ! 私の名前を呼ぶのです!)

 変な小さな生き物が現れた。

(あなたは?)

(私の名前はウンディーネ。みんなは水の妖精さんと呼びます。エッヘン。)

(ウンディーネ!)

 イリスは水の精霊の名前を叫んだ。

 つづく。


「死ね! イリスの妹! プチ・アトミックボム!」

 科学技術系の優子の機体からプチ・核爆弾が放たれる。

「キャアアアアアアー!?」

 さとみ、絶体絶命のピンチ。

「ウンディーネ・ウォーター!」

 大量の水がプチ・アトミックボムを飲み込んで火元を消して不発弾にする。

「誰だ!? 邪魔したのは!?」

「私よ!」

 現れたのは水の精霊ウンディーネのジャパロボに乗って現れた。

「お姉ちゃん!?」

「ただいま。さとみ。」

「zzz。」

 しかし、さとみはいつものようにいきなり眠る。

「こらー!? 姉妹の感動の再会シーンで眠るなよ!」

「つい、お約束で。」

 掴みはOK。

「お姉ちゃん、生きていてくれたんだね。」

「zzz。」

 しかし、イリスもいつものようにいきなり眠る。

「おい! お姉ちゃん! 私が眠ったら怒ったくせに!」

「ごめんごめん。悪いのはお母さんということにしておきましょう。私たちが眠くなるのは遺伝だからね。」

「そうしよう。」

 一件落着。

「おかえりなさい。イリスお姉ちゃん。」

「ありがとう。さとみ。」

 こうして無事に姉妹は感動の再会を果たす。

「こらー! おまえたち! 私の前でじゃれ合うな! こうなったら二人まとめて始末してやる!」

 優子のジャパロボが襲い掛かる。

「お姉ちゃん! 私も戦う! いでよ! 風の精霊シルフィードのジャパロボ!」

「おお!」

「いくよ! 令和ちゃん!」

「はい!」

 さとみと令和ちゃんはジャパロボのコクピットに搭乗する。

「リンク!」

 AIロボットの令和ちゃんとジャパロボが一つに繋がった。

「さとみ! 見参! 今度はお姉ちゃんを私が守るんだ!」

「なんだ!? こいつらの機体は!? この私が知らないジャパロボがあるというのか!?」

 風と水のジャパロボを見て衝撃を受ける優子。

「私も加勢します! いでよ! 火の精霊サラマンダーのジャパロボ!」

「おお!」

 すずも火の精霊のジャパロボを呼び出し乗り込む。

「すず! 参上! 助太刀します!」

「三対一とは卑怯な!?」

「おまえが言うな!」

「アハッ!」

 さとみ、イリス、すずの三人の呼吸がピッタリ合う。

「ケッ、多勢に無勢。今日の所は見逃してやろう。またね。」

「バイバイ。」

 意外に仲良く戦いは終わっていく。

「さとみ、あなたも全国ジャパロボ大会に出るなら私のライバルね。負けないんだから。」

「勝つのは私だよ。絶対にお姉ちゃんに勝ってやる。」

「はい! はい! 私も出るから忘れないでね!」

「ワッハッハー!」

 さとみ、イリス、すずの三人は全国ジャパロボ大会で健闘することを誓う。

 つづく。

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