第2話 ジャパロボ2
「見せてあげよう! 私がダメな子ではなく、機会がなかっただけだと。私はやればできる子だー!」
広瀬さとみは全国ジャパロボ大会の予選に出場するので、意気込みを語っている。
「zzz。」
姉のイリスは寝ていて聞いてない。
「お姉ちゃん!? 私の話を聞けよ!?」
「つい。お約束なので。」
掴みはOK。
「私は今度こそ全国ジャパロボ大会で優勝してみせる! 妹のさとみなんかに負けないんだから!」
姉のイリスは前回は2位。今回はリベンジに燃えている。
「zzz。」
妹のさとみも寝ていて聞いていない。
「さとみ!? あんたもお姉ちゃんの話を聞きなさいよ!?」
「悪いのはお母さん。アハッ!」
「そうだ! 悪いのはお母さんの細胞だ!」
「おお!」
さとみとイリスは仲良し姉妹になった。
「令和ちゃん。祐奈さんって、本当に寝てばかりいたんだよね。」
「はい。そうです。なんたって祐奈さんは伝説の眠り姫でしたからね。」
さとみの友達のすずとさとみのジャパロボのAIロボットの令和ちゃんが、姉妹の母親について語りだす。
「そんなさとみちゃんのお母さんが、よく全国ジャパロボ大会で高校3連覇を達成できたわね?」
「祐奈さんは寝ていると敵視マイナス300パーセントのミラクル・アビリティー持ちだったんです。」
「敵視マイナス300パーセント!?」
「はい。だから寝ている間にライバルが潰し合い起きたら優勝。または最後の一体と戦って勝てば優勝という、美味しい設定だったんですね。」
「美味し過ぎる!? その設定!?」
「おかげでゲストキャラクターの話や、新型のジャパロボの開発なんかもよくでき、変なストーリーをぶち込んでも全対応できるという安定のストーリー構成でした。」
「そうか!? それで書きやすいから今回に繋がっているのね!」
「大正解! ドンドン! ピュウピュウ! パフパフ!」
「やったー! 褒められた!」
大喜びのすず。
「zzz。」
「zzz。」
しかし広瀬姉妹は眠っている。
「こいつら聞いてなかったな!? ・・・・・・殺してやる!」
「すずちゃん!? 人殺しはダメよ!?」
「大丈夫。顔に落書きするだけだから。ニヤリ。」
すずはカラフルなマジックで二人の顔に落書きする。
「ふわ~! よく寝た!」
「ふわ~! 久しぶりにゆっくり眠れた!」
そしてお互いの顔を見る。
「キャッハッハー! お姉ちゃん何!? その顔!?」
「キャッハッハー! そういうさとみこそ!? インスタ映えする顔よ!?」
「平和っていいな。」
黄昏るすず。
「お茶が入りましたよ。」
「ありがとう。令和ちゃん。」
気の利く令和ちゃんであった。
つづく。
「今日は全国ジャパロボ大会の東京予選ね。イリス、さとみ、がんばってね!」
広瀬家ではお母さんの祐奈と娘の姉のイリス、妹のさとみが朝食を食べている。
「お母さん! 目玉焼きぐらいちゃんと作ってよ! 真っ黒焦げじゃない!」
「ごめんごめん。昔は明治天皇が料理を作ってくれていたのよね。アハッ!」
明治天皇とは祐奈のジャパロボのAIロボットの名前である。
「まさか!? 私たちのお父さんって、明治天皇!?」
「いや。ロボットに精子はないよ。」
「さとみ! あんたからも何とかお母さんに言ってやりなさい!」
「zzz。」
いつものようにさとみは寝ていた。
「こらー! 寝るな! 妹よ!」
「つい。お約束で。アハッ!」
掴みはOK。
「お母さん!」
「何よ!? さとみ!?」
「お小遣いを300円にして下さい!」
「zzz。」
祐奈はいきなり眠った。
「お母さん!? 寝て誤魔化さないでよ!? 狸寝入りってバレバレよ!」
「バレたか。アハッ!」
「似た者親子ですね。」
「そうだ! 令和ちゃんはロボットなんだから、令和ちゃんが朝食を作れば美味しい朝食が食べれるんだ!」
「あ、エネルギーが切れた。おやすみなさい・・・・・・zzz。」
「ロボットが眠気を覚えるな! マヨネーズを流し込むぞ!」
「ヒイイー!? それだけはご勘弁を!?」
「ワッハッハー!」
和気藹々とした家族の朝食である。
「でもすごいわね。ジャパロボも日本全土でやるようになったのね。私の時は23区でしょ、次に1都7県、最後が東京都全土だったような。」
祐奈お母さんは初代の全国ジャパロボ大会の優勝者である。
「そうですね。その祐奈さんの戦闘データを元に自衛隊のジャパロボ機は量産されたんですから。全世界を日本帝国が支配するのも当然です。」
「ありがとう。令和ちゃん。」
「お母さん。大会の邪魔をしないでね。」
釘を刺すイリス。
「何を言ってるのよ。私は自衛官として予選を審査する側なんだから。」
「そういって去年、大正ロマンの騎士とか言って、変なジャパロボが乱入したわよね?」
「あれは正体不明のジャパロボよ!? おかげで多勢に無勢でいじめられているあなたを助けてくれたじゃない!?」
優勝候補の祐奈の娘はライバルから一斉攻撃を受けていた。
「親バカですね。」
「私は、そんなお母さんが大好きだよ。」
さとみはお母さんのことが大好きだ。
「さあ! イリス! さとみ! しっかり予選を突破して全国大会に行くのよ!」
「おお!」
家族の団欒っていいな。
つづく。
「さとみ、遅刻するから先に行くわよ。」
「待って!? お姉ちゃん!? お腹が痛いの!?」
「何か変なモノを食べたんじゃないの?」
「お母さんの手料理。」
「zzz。」
「いきなり寝るなよ!? お姉ちゃん!?」
「ごめんごめん。」
掴みはOK。
「先に行くわよ。」
こうしてトイレにこもったさとみは、姉のイリスに置いていかれた。
「大丈夫? さとみ。お母さんのジャパロボの瞬間移動テレポーテーションで会場まで送ろうか?」
日本帝国軍最強のパイロットの祐奈の最新鋭のジャパロボは瞬間移動機能が付いている。
「いいよ。まだ間に合うから自力で行くよ。それより、今度ジャパロボを改造する時はシートを開けたら便座をつけて。」
「ナイス・アイデア!」
「さとみちゃん!? 本当に遅刻しちゃうよ!?」
「うわあ!? 行ってきます!」
「がんばってね!」
こうしてさとみはジャパロボに乗り込み予選会場を目指した。
「じゃあ、令和ちゃん。後は任せた。」
「もう、直ぐに眠って人任せにするんだから。」
いつもジャパロボの運転はAIロボットの令和ちゃんに任せて、さとみは通勤中は眠っている。
「あ!? あれは!?」
その時、さとみの目の前でひったくり事件が起こった。
「令和ちゃん! 犯人を追いかけて!」
「ええ!? でも、そんなことをしたら予選に遅刻しちゃうよ!?」
「構わない! 予選大会より目の前で困っている人を助ける方が優先だよ!」
さとみの中の正義が勝る。
「分かったわ! よし! いくぞー!」
「イケイケ! 令和ちゃん!」
ひったくり犯を追いかける令和ちゃん。
「捕まえた。」
あっさりとひったくり犯を捕まえて、盗まれたカバンを被害者に返すさとみ。
「良いことするって、気持ちいいね。アハッ!」
「そうですね。優勝はイリスさんにお願いしましょう。」
清々しいさとみと令和ちゃん。
「諦めるのは、まだ早いぞ!」
「シルちゃん!?」
その時、風の精霊シルフィードが目覚める。
「シルフィード・ワープ!」
さとみのジャパロボは風になって忽然と消えた。
「さとみちゃん遅いですね。もう予選が始まっちゃう。」
「恐るべし!? お母さんの手料理!?」
全国ジャパロボ大会の予選が始まろうとしていた。
「どいて!? どいて!? うわあ~!」
その時、空からさとみのジャパロボが降ってくる。
「さとみ!?」
「危ない!?」
ドカーンとさとみのジャパロボが降ってきた。
「間に合った・・・・・・イタタタタタタッ。」
「お目めがグルグル。」
こうしてさとみは予選会に間に合った。
つづく。
「それでは全国ジャパロボ大会の東京予選を行います!」
いよいよ始まる予選大会。
「大日本帝国が誇るレジェンド! 我らがアイドル! 眠り姫こと広瀬祐奈さんに開会の言葉を頂きます!」
「キャアアアアアアー!」
「祐奈様ー!」
「眠り姫!」
予選会場に選手、お客から大歓声の黄色い声援が飛ぶ。
「相変わらずお母さんはすごい人気ね!?」
「それはそうでしょう。今の大日本帝国人が豊かに暮らせるのも祐奈さんのおかげなんですから。」
「それなのに今朝、私を殺しかけたのはなぜ!?」
「え!? そうなの!?」
娘たちは自分たちの母親の国民的英雄扱いに感服する。
「それではどうぞ!」
「zzz。」
祐奈が国民の前に現れる。
「ゲッ!? 寝てる!?」
「やっぱり私たちのお母さん!?」
娘も驚愕する母親であった。
「・・・・・・もう食べれませんって・・・・・・え? 次はお寿司ですか・・・・・・すまんのう・・・・・・zzz。」
まだ目覚めない祐奈は寝言を発する。
「・・・・・・。」
静まり返る会場。まるで時が止まったようだった。
「ね、寝言!?」
「さすがお母さん!」
まだ祐奈は目覚めない。
「・・・・・・えっと、頂きました! それでは予選大会を始めます!」
「おお! 絶対に予選を突破するぞ!」
こうして東京都の予選大会が始まった。
「それでは予選大会の概要を説明します! 参加者が100万人と多いので、100万人で同時にサバイバルを行ってもらいます! 予選を突破して東京都代表になれるのは5人です! マップは東京都全域です!」
「100万人サバイバル!? どんだけ国民的なゲームなんだよ!?」
ジャパロボは普及している。サービス開始時のゲームセンターの潰れそうなゲームではないのだ。今やeスポーツなんかを軽く超えた国民的イベントなのである。
「どこに陣取るかは、プレイヤーの自由です!」
「だって、やっぱり渋谷かな?」
「学校にしようか?」
「祐奈さんはスクランブル交差点の地下で眠っていて勝ち残ったことがあるそうですよ。」
「お母さんらしい。」
「アハッ!」
勝ち方全てが伝説になっている祐奈。
「私は堂々と戦うわ!」
「お姉ちゃん!?」
「さとみとすずちゃんは地下で身を隠しておいて。令和ちゃん、二人を頼んだわよ。」
「イエス! イリス!」
軍隊ポーズで忠誠を誓う令和ちゃん。
(私がさとみを守らなくっちゃ!)
姉のイリスはさとみを守りきるつもりだった。
「必ず3人で予選を突破しようね!」
「おお!」
こうして全国ジャパロボ大会の東京予選が始まった。
つづく。
「うわあ~! 話が違うんですけど!? 地下は安全だったんじゃないの!?」
「祐奈さんの時は、参加者が100人しかいなかったみたいです。アハッ!」
「笑って誤魔化すな!? 出来損ないのAIロボット!?」
遂に始まった全国ジャパロボ大会の東京予選。渋谷の地下、略して渋地下にも大量のジャパロボが犇めいていた。
「奥多摩か、高尾さんにでも陣取れば良かった!?」
「きっと有名な所にはジャパロボがいっぱいでしょうね。アハッ!」
「ホストのスーパーコンピューターで解析できているんだった先に言ってよ!?」
地味だった令和ちゃんのポジションが確立できつつある。
「じゃあ、空だったら安全かしら?」
「いいえ。技術の進歩で、ヘリコプター・ジャパロボや、飛行機ジャパロボが大量に参戦していますから、空は危険ですね。」
「それなら海は?」
「海も水中用のジャパロボでいっぱいですよ。船のジャパロボや潜水艦のジャパロボなどが東京湾から多摩川まで飛び跳ねてますからね。」
ただの車に手足をつけただけのジャパロボが、よくもここまで進化したものである。
「なら陸戦でって、陸戦用のジャパロボも戦車ジャパロボだの、侍ジャパロボなど溢れてるんですけど!?」
渋地下は満員電車のようにジャパロボが筋詰め状態だった。
「ダメだ!? すずちゃん! いったん地上に出よう!」
「はい!」
さとみたちは地下から地上に出た。
「こ、これは!?」
「地上が吹き飛んでいる!?」
全てが吹き飛んでいるスクランブル交差点を見た。ハチ公像も、渋谷駅も、スクランブルスクエアも、ヒカリエ、ストリーム、セルリアンタワーも全てが破壊され大炎上していた。
「どうしてこんなことに!?」
「イリスお姉ちゃんがいない!? お姉ちゃんは無事なの!?」
周囲を見渡すが姉の姿はどこにもなかった。
「こんなことができるのは、あいつだ・・・・・・あいつしかいない!?」
「上空に生体反応があります!」
上空には黒いジャパロボが飛んで静止いた。
「あの黒いジャパロボは!?」
「竹内優子!」
現れたのは前回の全国ジャパロボ大会の優勝者の優子だった。
「ハエが多いんでね。大掃除をし終えたところさ。」
「こんな街中で核兵器を使うなんて!?」
「甘えるんじゃないよ! 大会の規定に武器は核爆弾を使ってはいけませんなんて書いてないからね!」
悪びれる様子の無い優子。
「・・・・・・やったな。よくもイリスお姉ちゃんをやったなー!!!!!!!!」
さとみの怒りが爆発する。
つづく。
「姉ですら私に負けたっていうのに、妹のおまえなんかに何ができる!」
「妹だからって馬鹿にするな! 私はやればできる子だ! お姉ちゃんの仇は私が打つ!」
優子と対峙するさとみ。
「やれるもんならやってみろ! おまえも吹き飛ばしてやる! 必殺! プチ・アトミックボム!」
「負けるもんか! 負けるもんか! おまえなんかに負けるもんか! 必殺! シルフィード・ウインド!」
核爆弾と激しい風がぶつかり合う。
「ドカーン!」
二人の中間で激しい爆発が起こる。空中にキノコ雲が発生する。
「うわあ~!」
爆風に吹き飛ばされるさとみたち。
「だ、大丈夫? さとみちゃん。」
すずが目を覚まし、さとみに声をかける。
「zzz。」
いつものようにさとみは眠りについている。
「大丈夫です。いつもみたいに寝てるだけですから。」
代わりにジャパロボとリンクしているAIロボットの令和ちゃんが答える。
「あの人は!? 優子さんはどこ!?」
「姿は見えないですね。もしかしたら爆発が強すぎて倒されちゃったのかもしれませんね。」
優子の黒いジャパロボの機体はどこにも見えなかった。
「私たちもシルフィードとサラマンダーのジャパロボじゃなかったら、負けていたかもしれない。」
「ありがとう。シルちゃん、サラちゃん。」
精霊系の不思議なジャパロボであった。
「とにかく、これだけの激しい爆発があったんだもの。当分の間、誰も渋谷には攻めてこないでしょう。」
「そうですね。予選が開始して1時間。まだ50万人ほど参加者も残っていますしね。もうすこしつぶし合ってもらいましょう。」
「zzz。」
「さとみちゃんも必殺技を使ったから疲れ果ててるし。」
暫くの間、すずたちは破壊された渋谷で休憩することにしたのだった。
「クソッ!? 油断した!?」
優子のジャパロボは片腕が吹き飛んでなかった。
「なんなんだ!? あいつの武器は!? 風力兵器!? 化学兵器ではないのか!? まさか、この私が知らないジャパロボがあるというのか!?」
さとみが乗る正体不明のジャパロボを警戒していた。
「だが私には敗北は許されない! 私が負ける訳には行かないのだよ!」
そういって破損して放置されているジャパロボから腕をもぎ取る優子。
「欲しがりません! 勝つまでは!」
そして自分のジャパロボに溶接を始める。
「核ミサイルも使い切ってしまった。そこの戦車の砲台でももらうことにするか。」
優子専用ジャパロボをカスタム修理していくのであった。
「戦いはまだまだこれからだ! まだ私の永遠のライバル! イリスすら倒していないのだからな!」
なぜか目の敵にされる姉のイリスであった。
つづく。
「誰も来ない。さすがにマイナーな渋谷川にジャパロボがいるなんて思わないわよね。」
イリスは渋谷川に潜んでいた。もちろん戦闘回数はゼロ。
「暇だからお昼寝しよう。敵が来たら起こしてね。ウンディーネ。」
「あんた本当にやる気ないわね。そんなんじゃお嫁の行き所が無くなるわよ。」
「zzz。」
「ああ~、寝ちゃった。」
イリスのジャパロボは水の精霊ウンディーネのジャパロボなので、水の中の戦いには強い。
「ていうか、姿は水に隠れていないんですけど。」
渋谷川は水深の低い川であった。
「でやー!」
「とやー!」
東京都全域で100万人のサバイバル戦が行われていた。
「祐奈さん、もうそろそろ手を打たないと誰も戦いを挑まなくなってきましたね。」
2時間が経過した頃にはジャパロボも残り100機くらいになっていた。
「zzz。」
しかし祐奈自衛官は涎を垂らして眠っていた。
「起きてください!? 祐奈さん!? 綾子教官にチクりますよ!?」
「綾子教官!?」
動物の習性だろうか? 鬼軍曹の綾子教官が怖いので寝ている祐奈も飛び起きる。
「予選の決勝戦を行います! ポチットな。」
目覚めた祐奈はボタンを押すのであった。
「これから少しずつ戦闘エリアが小さくなって行きます。エリアの外に出たジャパロボは失格です。最後の5人になるまで戦ってもらいます。」
東京都全域に災害無線が流れる。
「オンラインゲームかよ?」
「やっぱり最後まで残るエリアって、東京都の中心の吉祥寺か調布かしら?」
「いいえ、渋谷です。アハッ!」
なんでやねん! 天国から明治天皇の関西弁が聞こえてきそうだった。
「ということは私たちはやって来る敵を迎え撃つ側なのね。」
「そもそも他のジャパロボは渋谷までたどり着けるのかしら?」
「無理ですね。既に高尾さんのジャパロボは下山中に、奥多摩の秘境のジャパロボも戦闘エリア外になり、戦う前に消滅しました。」
これで残りは98体。
「江戸川区のジャパロボと江東区のジャパロボが遭遇。6体で交戦が続けられています。そこに葛飾区のジャパロボたちも側面から参戦しています。」
「戦闘エリアが小さくなっていくから、急速に戦わなければいけない状態にさせられているんだわ。」
「もしかしたら、渋谷にいる私たちは誰とも戦わないで東京都代表になれたりして?」
「冗談やろ~、そんな奴おらへんで・・・・・・チッチキチー。」
さとみ、すず、令和は顔を見合わせる。
「あり得る!? 不戦勝で全国大会!?」
「さとみちゃんのお母さんも寝てるだけで優勝したもの!?」
「だって、それがジャパロボ・クオリティー!?」
残りのジャパロボは約50体。
つづく。
「残り10人!」
いよいよ大詰めを迎える全国ジャパロボ大会の東京予選。東京代表の枠は5人なので、後5人倒れれば、さとみたちは全国大会に出場できる。
「残り9人!」
全国大会出場のカウントダウンが始まる。
「さとみちゃん! 私たち全国ジャパロボ大会に出られるんだよ! これで高校の内申点も5段階の5は確実だね! アハッ!」
「zzz。」
いつものように眠って人の話を聞かないさとみ。
「ついつい。お約束です。」
掴みはOK。
「残り8人!」
「本当に渋谷に居るだけで買っちゃうかもね!?」
「ラッキーだね。私たち。」
「でも、もしかしたら渋谷区に入ってくるジャパロボを誰かが倒してくれているのかもしれませんよ。」
「そんな奇特な奴おらんやろう・・・・・・チッチキチー。」
「ワッハッハー!」
さとみたちは呑気に渋谷で女子会ピクニックをしていた。
しかし、そんな奇特な奴がいた。
「残り7人! 見たか私の超長距離戦車砲の威力をこれなら山手線の内側に入った奴を100パーセント狙い撃ちできるぜ!」
優子である。優子が渋谷区に近づこうとするジャパロボを代々木タワーから狙い撃ちしていたのである。
「当たれー!」
ドカーンっと大砲をぶっ放す。相手のジャパロボはどこから砲弾が飛んできたのかも分からないまま倒されるのであった。
「残り6人! あと一人倒せば私は東京代表だ! アハッ! これで怒られないで済む!」
その時、一機のジャパロボが渋谷区に近づいてくる。
「キタ! あいつを叩いて戦いを終わりとする! 当たれー!」
ドカーンっと一発砲撃をぶっ放す。
「なに!? かわされた!?」
しかし、命中寸前に正体不明のジャパロボに攻撃をかわされた。
「ドカーン!」
しかし次の瞬間、代々木タワーが切り倒された。
「なに!? レーザーか!?」
優子は空中でバランスを整えて無事に着陸する。ガタンっと片足は外れてしまうのだが。
「いる!? 得体の知れないジャパロボが!? 直ぐに本部に連絡しなくっちゃ。」
どこかに連絡する優子であった。ジャパロボ自体は生きているのでセーフ。
「はい! そこまで! 残り5人となりました! よって現在残っている5名のジャパロボが東京代表として、全国ジャパロボ大会に出場です!」
全国ジャパロボ大会の東京予選が無事に終了した。
「やったー! 私たち全国ジャパロボ大会に出場だ! 目指せ! 全国制覇だ!」
「私たちはダメな子なんかじゃない! やればできる子なんだよ!」
「おめでとう! さとみちゃん! すずちゃん!」
さとみたちは全国大会行きのチケットを手に入れて大いに喜んだ。
つづく。
「おめでとう! イリス! さとみ!」
自宅に帰った姉妹は母親の祐奈の祝福を受けた。
「ありがとう! お母さん!」
「私も、私も、全国大会に出るんだよ!」
「二人は私の自慢の娘だよ! 今日はお母さんが腕によりをかけてご飯を作るわよ!」
「zzz。」
「zzz。」
イリスとさとみは急速に眠りについた。
「酷い!? 何も二人で眠らなくったっていいじゃない!?」
「だってお母さんの手料理は殺人料理なんだもの。」
「はい! 私は朝、お腹をくだしました! 下痢ですよ! ヒロインが下痢になるんですよ!」
「zzz。」
祐奈も瞬時に眠りにつく。
「寝るなー!?」
「お約束です~! アハッ!」
「お祝いの料理は私が作りますから安心してください。」
「ありがとう。令和ちゃん。」
「本当に令和ちゃんがいて良かったわ。明治天皇は関西弁で文句ばかり言いながら料理していたから困ったものよ。」
「ワッハッハー!」
故人ではなく故AIロボット明治天皇のご冥福を祈ります。
(イリス、さとみ。全国大会にはたくさん強敵が出てくるわ。私の娘ということでマークも厳しいでしょうし。頑張るのよ。私の娘たちよ。)
祐奈は娘たちを心配する母心を持ち合わせていた。
「祐奈教官!? 祐奈教官!? 緊急通信です!?」
東京予選の終盤。
「zzz。」
祐奈は仕事をサボって眠っていた。
「仕事中に寝ないでください!?」
「ふわ~! よく寝た! おやつの時間かな?」
司会役の自衛官が祐奈を起こす。
「どうしたの?」
「東京予選に正体不明のジャパロボが出場しています!?」
「なんですって!?」
衝撃の報告を受けて祐奈の目が覚めた。
「直ぐに私のジャパロボを起動しろ! そんな危険なジャパロボを全国大会に出場させれるか! 私の娘たちを守るんだ!」
祐奈は出撃しようとする。
「東京代表の5人が決まりました!」
「クソッ!? 遅かったか!? なぜ!? もっと早く報告しないんだ!?」
「しましたよ!? 祐奈教官が寝てたんでしょうが!?」
「アハッ! そうだっけ?」
とぼけるしかできな祐奈であった。
「ところでお姉ちゃんはどこにいたの?」
再び自宅の祝勝パーティ会場。
「私? 私は渋谷にいたよ。」
「嘘? 私見てないよ。」
「いたわよ。渋谷川に。」
「さすが私の娘ね。敵視マイナス300パーセントを引き継いでいるに違いない。」
「ワッハッハー!」
こうして家族の笑顔溢れるパーティは過ぎていった。
「zzz。」
「zzz。」
「zzz。」
祐奈、イリス、さとみは、はしゃぎつかれて幸せに眠っている。
「良かったですね。みなさん・・・・・・って、誰が片付けるのよ!? ハア~。」
令和ちゃんは一人でお片づけをするのだった。
「私も家族が欲しいな。明日、ご先祖様のお墓にでも行ってみようかしら。」
こうして全国ジャパロボ大会に続いていく。
つづく。
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