第7話

「貴様が誰かを答えて欲しいのだろう?答えてやる。アイリス帝国侯爵家騎士、名は確か…ジーンとか言ったか。」

騎士だと?来賓席に入れられていたのにも関わらず騎士?それは流石にありえないだろ。


「な…そんなわけないだろう!私は来賓としてこの国に招かれたのだ!騎士などが来賓として来るわけないだろう。」


「侯爵が寄越したんだろうが。既に侯爵が自宅にいるのは分かっている。いい加減大人しくしろ。」


…なんて記憶力だ。幼い頃から厳しい教育を受けていた俺だってそんなの覚えてないぞ。

しかも侯爵家の騎士とまで言い当てるとは本当に何者なんだ?裏まで取れるとなると俺と同じ…あるいは皇族と同じくらいの身分なのかも知れない。


「っ…くそが…!」


「連れて行け」


「御意に」


この騒動の後はすっかり盛り上がって、陛下に祝いの言葉や祝いの品をもらったりもした。もちろん貴族連中や来賓への挨拶もちゃんとした。

宴も終わり、皆が帰る頃陛下から呼び出しを受け皇宮へ向かった。呼び出しとか嫌な予感しかしないんだが。


「陛下、何かあったのですか?」


「ん?ああ、さっきお前を助けた奴のこと知りたいかと思って。」

いや、まぁたしかに気になってはいたよ?今日じゃなくていいじゃん。もう2時回ってるよ?

てかなんであんたも起きてんだよまだ歳25だろ俺の方が下だけどさぁ


「確かに気になりますけど。」


「今呼んでいるから少し待っていろ。」


「わざわざ呼んだんですか…今日じゃなくてもいいのに。」


「いや、今日だからだよ。あいつゆっくり話せるのも今日ぐらいしかないからな。」


「…は?」

何言ってんのこの人。つまりその人には休みがないって事?しかもこんな時間に起きている、極め付けは女。


「陛下、お見えになりました。」


「入れ」


「玲月さん…何の用です?」

ん?いやいや顔が見えんぞ?でもうっすら笑ってるか?

…拝見の礼もせずにしかもさん呼び…相当キレてるぞこれは


「すまんな、何かやっていたか?」


「いえいえ特には。皇宮から回ってきた書類を片付けていただけですから?ね?」

遠回しの嫌味…貴族でも不敬罪に問われるかもしれないのにそれを堂々と言うところ。

よっぽど殺されない自信があるんだな(?)


「それより、此奴は瑞家次期当主の瑞透李だ。」


「先程はありがとう。瑞透李です。」


「…」


「…?」

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