第4話

それから半年くらい、毎日のように霞碧と一緒に勉強した。

いつものように、今日も霞碧くるかなぁとか思って待っていたけど、来なかったんだ。

次の日もその次の日も、霞碧はうちに来なかった。名字も聞いていなかったから手紙も出せない。…聞いておけばよかった。


霞碧と会わなくなって早5年。


「透李、おめでとう。」

瑞亮玲(ずい りょうれい)。瑞家の現当主だ。


「?おはようございます父上。何がおめでとうなんです?」


「何だって、お前なぁ…今日は透李の誕生日だろう?自分の誕生日を忘れるとは、何か考え事でも?」


「あぁそうでしたね。ありがとうございます。」

今日で俺は18歳。


とりあえず部屋に戻って支度をしよう。

今日は皇宮に行く日だ。


「…なぁ桜花。透李最近妙に天才じゃないか?」

瑞桜花(ずい おうか)。透李の母で瑞家の奥方だ。


「はい?最近天才って、なんですの?貴方まさかこの間の熱が頭にまで回ったのでわなくて?」


「う"っ…酷いな桜花〜」



「おお透李〜よく来たな。」

早速この国の皇帝陛下玲月(れいげつ)様ご登場。


「…ご機嫌麗しゅう皇帝陛下」


「なんだその微妙な顔は。今日は皇女とお前の誕生日だからな?盛大な宴を用意しておる。楽しみにしておけ!」

なーんでこんなにもハイテンションなんだよ。この人。とても皇帝とは思えないな。


「ありがとうございます。身に余る光栄です。」

陛下は上機嫌で去っていった。俺は庭園に行こうとしたら女官に捕まって化粧と着替えをさらられた。絶対あいつの差金だろ!


「終わりました透李様。」


「ああ、ありがとう。」

正直、どんな高価なものでも盛大な宴でもなくただ霞碧にあえたらそれが1番のプレゼントになるんだけど。多分無理だよな、貴族に霞碧なんて名前の子はいなかったから探しようがない。


「ちょっとくらい顔を見せてくれても良いじゃないか…」


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