第6話
「透李兄さま!お誕生日おめでとうございます!」
第二皇女碧玲殿下。今日で10になるそうで、
いつもよりうんと綺麗に仕上げられている。
可愛い。
「ありがとうございます。碧玲殿下もおめでとうございます。」
「透李様、そろそろ会場に行きましょう。」
「?早くないか。まぁいいが。」
「後でね透李兄さま。」
会場に着いたはいいが、やはり貴族が沢山いるわけで。来賓への挨拶もしないといけない。面倒だなぁ。
「あら、透李様じゃないですか。お久しぶりですわ。」
うわぁ誰だっけこの子。確か無理矢理婚約させられそうになった時の子だったような…
「ああ、久しぶりだな。」
「この後一緒に回ってもよろしいですの?」
あー大体付き纏ってくるパターンかな。
「悪いけど、俺碧玲殿下のとこに行かなくちゃならないから。」
「そ、そうでしたのね。ではこれで…」
はぁとりあえず巻いたかな(?)
にしても、さっきから騒がしいな。
「皇族をお守りしろ!」
「え、何?」
来賓の中で最も仲の悪い国、アイリス帝国から来た者たちが混乱の元であった。
そしてあろう事か皇族に斬りかかろうとしていたのである。
「透李兄さま後ろ!」
「!?」
俺の背後には奴らの仲間が回り込んでいて、
短刀を背中目掛けて降っていたのだ。
だがいつまで経っても衝撃が来ない。
…もう既に死んだとか…
「我が国の者たちに何をしているのだ?」
代わりに降ってきたのは氷のように冷たく言い放たれた言葉だった。
皇族に劣らない上等なものを着ているが
いったい…
「貴様!何者だっ…⁈」
一瞬にしてその女は賊の急所に刀を向け黙らせ、半ば馬鹿にしたように言う。
「己は名乗らぬのに人には聞く…か。
なんとも礼儀のない。まさか本当に鼠が入るとは思わなかったよ。」
「なっ何を言う!貴様の方が無礼だ!私を誰だと思っているんだ!」
ダンッ!
女の近くにいた官吏の格好をした男が背負い投げを喰らわせた。あんな細い体躯のどこにこの大男を背負うほどの筋力が…いわゆる細マッチョって奴?
「貴様こそこのお方を誰だと思っているんだ?」
「構わぬ。今はそのようなことを気にしている暇はない。答えてやるよ。あんたが誰かを、ね?」
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