考えてみれば、花もまたそのための器官だ――濃密で背徳的な艶めく世界

花もまた、植物の生殖器官。
この文脈で「雌蕊と雄蕊」の語が出てきたとき、それを否応なしに思い出してしまったりもしました。

花に欲情を抱く主人公が、花と行為(自慰と呼ぶよりこちらの方が、個人的にしっくりきます)を行う話です。
主人公の心理や「相手」の花の様子など、露骨すぎる語や表現こそないものの細やかに記されており、えもいわれぬ艶めいた世界が背徳感と共に広がります。

主人公がどうしてそうなったのか――を匂わせる背景についても言及されており、単なる性愛の話にとどまらず、一種の物悲しさも作中には漂っています。

美しく艶がある性愛の話をお探しの方に、特にお勧めです。

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